内容説明
日本海軍の保有する軍艦・艦艇の情報を得ることは、当時の米英海軍にとっても難しく、時には艦容や基本要目すら判明しない場合があった。その性能は限られた不正確な情報から推し量るほかなく、そのため、現代の目からは奇妙にも映る過小評価・過大評価がなされた例もある。
本書では当時の米英海軍が日本艦の情報をいかに取得し、どうのように評価し、それが米英の艦艇整備にいかなる影響を与えたかを明らかとする。
雑誌「ミリタリー・クラシックス」の人気連載「海外から見た日本艦」を、書き下ろし分を加えて完全収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えぬ氏もわるよのぉ
13
世界というより米英は、分厚い機密のベールに包まれた日本の軍艦の性能を、わずかに得られた情報から推察した。ところにより過小評価や過大評価もあり、いろいろ興味深かった。性能とは関係ないが、戦艦の複雑な艦橋や、巡洋艦のずんぐりした艦橋や煙突などは、醜いと感じられたらしい。一般将兵向けの識別表にはそれを揶揄するコミカルなイラストが描かれているのがアメリカらしい。潜水艦は総じて評価が低く、映画『スタートレック』で特撮監督ダグラス・トランブルはクリンゴン艦の内装を「日本の潜水艦のように旧式で汚れた感じ」にしたそうな。2023/03/22
竜王五代の人
4
戦間期から第二次大戦まで、主にジェーン年鑑やアメリカ海軍が日本海軍の艦艇をどのように認識していたか、の本。巡洋艦以上の大型艦中心で、駆逐艦・潜水艦・海防艦に割かれたページは少ない。外見から分かりやすい武装の把握は割とまともだが(謎の47ミリ対空砲除く)、防御は厚めに見積りがち。新戦艦の建造数はやたら多いし、秩父型装甲艦や軽巡代用大型駆逐艦といった幻の艦艇(ドイツ風?)、ハイブリッド艦への否定的な目など、なかなか面白かった。2024/04/14
高木正雄
2
世界というよりは英米がどう見たかという内容。米軍が作った最後の人種差別的なイラストは面白かった2023/08/10