内容説明
少女は、薔薇の花畑で目覚めた。自分は誰? ここはどこ? すぐ先には白い小城があり、そこは物語管理局という時空の狭間だった。城には物語に登場するキャラクターが暮らし、城主は親指姫。少女は自分の正体を突き止めたいと「王子」と呼ばれる少年と“物語管理官”として活動することに。ふたりは物語の世界で不幸になった者を救うため「マッチ売りの少女」「裸の王様」などの作品に入るが、王子がある禁忌を破ってしまい……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
77
表紙の材質が素敵。プラスチックのようなカバーで、イラストが本の本体の淡い背景にマッチしている。綾崎隼さんの本は「死にたがりの君に贈る物語」が好き。アンデルセンの物語がわかる人は面白いと思う。物語の中で不幸になったものを救う物語管理局。ファンタジーで、お!と思った。王子様も出てくる。素敵。SF要素もある。どのようにして、物語の不幸な登場人物を救うのか?ワクワクする。意外な展開に驚く。王子様の正体にびっくり。読者から募集した物語をカンザキイオリさんが楽曲化。「それを世界と言うんだね」を綾崎隼さんが小説化。2023/04/18
えんちゃん
65
これは読むRPGファンタジーだ。過去の記憶がない少女と王子。アンデルセン寓話の幸せになれなかった登場人物たちを救うため、物語の世界へ東奔西走するふたり。数々の軌跡をたどった先にある本当の『奇跡』とは。表紙が内容と全く合っていないけれど、ある楽曲からノベライズされた作品だからとのこと。小説も色んなコンテンツとコラボする時代かあ。綾崎さんならではの愛と優しさの物語。夏休みの児童書にもおすすめ。2023/07/16
夜桜キハ
50
カンザキイオリさんの曲が原曲ということで手に取った本(曲自体は未だ知らなくて申し訳ない)物語で不幸な結末を迎えた者を救う物語管理局。このような設定が素敵であり思いつかない上に誰もが願ったことである身近な設定というのが没入しやすい。その上、出会う王子が何の物語の王子なのか。正体がわかったときの鳥肌。まさかそう来るとは、と完全に裏側を突かれて脱帽いたしました。個人的な感想ですと涙を流すほどかと言われればそうではなく世界観や結末の素敵さに息を呑むほうが正しいと思います。誰もが幸せになる世界があって良かったです。2024/05/21
よっち
38
読者から募集した物語をカンザキイオリが楽曲化し、バーチャルシンガー花譜が歌う「それを世界と言うんだね」を綾崎隼が小説化した物語。記憶を失っていた少女が、物語の中で不幸になったものだけがたどり着ける物語管理局で出会った王子。彼と一緒に物語の世界に飛び込んで、不幸になったキャラクターたちを救うために様々な世界を旅する展開で、思いもかけない方法で登場人物たちを救ってみせる中、明らかにされてゆく主人公や王子の正体。懐かしい思いでかつて読んだ物語を思い出しながら読みましたが、ラストは著者さんらしい温かい物語でした。2023/05/02
まる子
30
最初に花譜の楽曲を聴いて読み始める→再度楽曲を聴く。なるほど!記憶を失った少女と少年が出会った。そして不幸な物語の主人公を救う事になる。なぜそんなことを?物語管理局になぜ着いた?この答えは最後の最後で明かされる、読んだ人を幸せにする話しだった。他の方のレビューにあるように、少女と少年は「空を落ちて、君と出会う」にしっくり!あ〜、そういう事だったのか。みんなに感謝!ありがとう✨花譜(かふ)の歌(楽曲はカンザキイオリ)を綾崎隼が小説にした物語でした。2023/06/17