内容説明
天皇はいかにして神になったのか。
世界宗教の根本理解から天皇の神性が浮かびあがる
世界に比類のない日本の天皇はいかなる原理によって日本の歴史を動かしてきたのか。
神からのぞみの地を約束された民は世界でも日本人とユダヤ人だけ。しかし日本人とユダヤ人は対蹠的な歴史を歩んだ。日本人はのぞみの地にとどまり、ユダヤ人は世界を流浪した。そこにはどのような神の力が働いていたのか。
ユダヤ教との比較に始まり、キリスト教、仏教、儒教、イスラム教といった世界宗教の根本理解から日本の天皇を位置づける。
さらに、キリスト教の「予定説」(プリディスティネーション)の原理から天皇の神勅的正統性を導きだし、そしてイエス・キリストの復活と三度にわたる天皇の復活が同型(アイソモルフィック)であることから天皇という神の原理を抽出する。
時代に隔絶した大天才の碩学が、世界の奇跡ともいうべき日本の天皇という存在を徹底的に究明した驚愕の書。
小室直樹氏の直弟子でもある副島隆彦氏が解説と絶賛推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
18
承久の乱によって一度は死んだキリスト教的天皇のカリスマが、南北朝のいずれが正当かの大論争で蘇った、の復活の説得が薄い。宗教論としては素晴らしく分かりやすい良書なので、タイトルを変えたほうが納得がいくかも。 昨日映画館に行った時に、「親鸞」上映中なのを知ってそのタイムリーっぷりに嬉しくなった。夢に出てきた聖徳太子の許可が出たんだからと戒律仏教の本質的部分(法前仏後)を変え、肉食妻帯を許した。因みに聖徳太子は単なる在家信者ww 厳しい神との契約をひたすらに遵守するユダヤ人とは、この辺からだいぶ思想が違う。2025/03/21
軍縮地球市民shinshin
18
稀代の碩学小室直樹博士の1993年刊の著作の復刊。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教を比較し「現人神」である天皇とユダヤ教との共通点を指摘、承久の乱によって天皇の「天壌無窮」神話は崩壊し、幕末で「現人神」が復活したと著者は力説する。複数の宗教を比較し宗教社会学的見地から導き出したこの結論は斬新でありおもしろいが、こういった分野の専門家からの反応はどうだったのだろうと思う。一般向けの書籍のはずなのだが、内容は極めて高度であり門外漢の僕はところどころ読み直して理解を深めていった。2023/11/01
九曜紋
9
政治学のみならず百学の碩学にして泰斗である小室直樹氏に盾突くのは恐れ多いが、なんとも違和感を抱かざるを得ない内容だ。日本はカナンの地を約束されたユダヤ民族と同様、豊葦原の瑞穂の国を神から与えられた特別な存在であり、その国を治める天皇は現人神である、と説く。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教等の教義を比較、詳述しつつ、特にキリスト教の予定説から天皇の天壌無窮を導出する。小室は1932年生まれ。皇国史観の影響を受けた世代であり、昭和天皇を神格化するのはわからないでもないが、少なくとも私には馴染めない。2023/04/02
めっかち
5
本書について、國學院大學教授で宗教学者の大原康男博士が『文藝春秋』一九九三年八月号に的確な書評を寄せておられる(四〇四-四〇五頁)。曰く「これは天皇の神学である」と。この神学は、ユダヤ教、キリスト教、仏教、儒教などとの宗教社会学的比較分析のもとに展開される。そして、この神学の根底には、小室直樹博士の天皇に対する帰依がある。この尊皇家の必読書を復刊してくれた徳間書店に感謝したい!2023/11/21
こうきち
1
KUで読了。色んな意味でおもしろかった。ユーモアがあって。<心、 焉にあらざれば、視れども見えず、 聴けども聞えず(『大学』章句)の範例みたいな話ではないか。右の瀆神王・預言者劇は、旧約聖書のシナリオであり、役者変われどもシナリオ変わらず。中国の易姓革命劇のごとく、赤川次郎の小説のごとく、故梶原一騎のマンガのごとく。同様なテーマが役者と道具立てを入れ替えて繰り返される。嫌いな人にはマンネリだと映るかもしれないが、好きな人にはたまらないところであろう。>2025/08/18
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