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内容説明
デジタル情報の総量はこの20年で1万6000倍になったが、権力者に都合の悪い事実は隠され、SNS上にはデマや誤情報が氾濫する。私たちが民主主義の「お客様」でなく「運営者」として、社会問題を議論し、解決するのに必要な情報を得るのは、難しくなる一方だ。記者はどうやって権力の不正に迫るのか。SNSと報道メディアは何が違うのか。事件・事故報道に、実名は必要なのか。ジャーナリズムのあり方を、現場の声を踏まえてリアルに解説。ニュースの見方が深まり、重要な情報を見極められるようになる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
24
ジャーナリズムの現状と問題提起について。興味のある分野を切り取って読むだけのネットニュースと時には関連話題やそれまで興味のなかったテーマに触れる機会もある新聞はネットで電子書籍を買うのと本屋をぶらついて買うことに近い感じがするので私は断然後者派。匿名性についても触れているが政府高官のコメントとかは誰の発言かハッキリさせるべきと思うが、事件被害者については周辺人物たちの要望が最優先だと思うので何でもかんでも実名が良いとは思えない。2023/05/10
kan
23
冷静な視点と明快な文章、豊富な実例とで非常に読みやすく、勉強になった。国民が国家運営の主体という民主主義の基本に対し、国民の社会参加、政府やメディアへの意識の未熟さへのもどかしさや危機感が伝わり、ジャーナリズムの成熟は国民次第だと感じた。対面コミュニケーションが制限されると真実に迫りきれないというのは教育でも同じで、生身の人間同士の信頼関係の上での間合いや手触りが大切だったりする。澤先生には以前の勤務校で少年犯罪と実名報道についてお話しいただいたが、本書を読み公益性とメディアの責務について理解が深まった。2023/07/13
こも 旧柏バカ一代
19
基礎的な事しか書いてない。だけどどちらに向かって報道をするのかという処は面白く読めた気がする。そうか、日本の報道って国民に向いてないんだな。手間を惜しんで、数字に、金に向いてたんだな。2024/02/09
奏市
10
元共同通信記者が質の高いジャーナリズムのあり方、知る権利などに関して記した内容。民主主義の「運営者」である自分たち国民がどう情報収集していくかは質の良いメディアをいかに存続させていけるかに繋がる。災害や犯罪の被害者を匿名でなく実名報道をとの主張について考える良い機会となった。たまたま見たテレビ番組で、ホロコーストで亡くなった約10万人の氏名を一つ一つのレンガに刻んだアムステルダムの記念碑の事を知った。家族がコントロールすることなのか、その人の尊厳はどうすれば守れるのか、難しい部分も多いが考えていきたい。2024/02/06
sekkey
8
著者を知ったのは本人がゲスト出演した文化放送の大竹さんのラジオ。たしか青木理氏と共同通信時代に同期だったとか。本書の主張は明快。私たちが民主主義の「運営者」(主役)として社会の様々な出来事や課題に目を向け自分事としてどうすれば改善できるかを真摯に考える。その「運営者」のために報道・メディアは政治・経済・社会の動きを定点観測し、内部告発者が出そうな事件の際は足繫く地味に訪問を重ね、実名報道も辞さずありのままを隠さず報道する。ネットや新聞、ラジオ、テレビ他でニュースをチェックする際の教科書的一冊。2023/11/26