幻の麺料理 - 再現100品

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幻の麺料理 - 再現100品

  • 著者名:魚柄仁之助
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2023/03発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787220981

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内容説明

文明開化以降、外国由来の多種多様な麺と在来の料理法をミックスして独自の発達を遂げてきた日本の麺料理。ラーメン、ナポリタン、カレーうどんなど今日まで残る「成功例」の陰で、跡形もなく消えていった幻の麺料理があった。そのレシピを、明治・大正・昭和の雑誌や料理本から発掘し、実作・実食する検証レシピエッセー。

大正から昭和初期にかけて、メディアと交通網の発達、台所の近代化、そして現在まで続く婦人・主婦向け生活雑誌の創刊ラッシュによって、爆発的に進化した近代日本食文化。
過渡期には、パスタ麺や中華麺、ケチャップやホワイトソースといった新しい食材を既存の日本料理と自由に組み合わせた、数々の無国籍麺料理のレシピが生まれては消えていった。
戦前のナポリタンうどん、カレー餡かけそば、納豆スパゲティ、ラーメンおこし、マカロニのおすまし、元祖ラーメン「豚饂飩」「しなそば」「南京そば」、元祖カレーうどん、など、当時の雑誌に掲載されていた実際のレシピを100点以上所収。

取り上げるおもな雑誌……「婦人之友」「主婦之友」「主婦と生活」「暮しの手帖」「婦人倶楽部」「婦人生活」ほか多数。

目次

まえがき――麺類の進化と淘汰

第1章 うどんの麺と西洋料理法の合体
 1 うどん麺のナポリタン 戦前&戦後
   うどん麺のナポリタン
   ケチャップ炒めうどん
   うどんのナポリテーヌ
   うどんのトマト煮
   干しうどんのトマト煮
 2 ホワイトソース系のうどん料理
   うどんの白ソースかけ(戦後)
   うどんのミルク煮(ホワイトソース煮)
   うどんのエッグソース和え
   マカロニ風うどんのホワイトソース煮
 3 ガラパゴス化する日本スパゲティ
   うどんスパゲティからの脱皮
   洋風寄せ集め、スパゲティの牛乳煮
   スパゲティの卵寄せ
   目玉焼き載せマカロニ
 コラム うどんナポリタンの時代

第2章 カレーうどんの謎
 1 カレーライスは洋食でカレーうどんは和食?
 2 かけ汁系カレーうどん
   一九三二年、模範的なカレーうどんレシピ
   シチュー風のカレー南蛮
   カレー南蛮とカレーうどんの比較実験
   あまりにも大ざっぱなカレーうどんレシピ
   トコトン手軽なカレー南蛮レシピ
 3 餡かけ系カレーうどん
   チーズとトマトソースかけカレーうどん
   ホワイトソースのカレーうどん
 4 ちょっと変わったカレーうどんいろいろ
   割烹女学校のカレーうどん「かけ汁系」
   カレーライスのようなカレーうどん
   和風出汁系カレーうどん
   ライスカレー的カレーうどん
   冷たいカレーうどん
 5 料理家によるカレーうどん
   田村魚菜のカレーうどん
   東畑朝子のカレーうどん
 6 カレーうどん以外のカレー麺料理
   カレー味スパゲティ1 かけるタイプ
   カレー味スパゲティ2 炒めるタイプ
   ドライカレー載せスパゲティ
   カレー餡かけ中華麺
   カレー長崎皿うどん
   餡かけタイプのカレー焼きそば(戦前)
   炒めるタイプのカレー焼きそば(戦後)
   餡かけカレー中華そば
   本格カレー中華そば
   スパゲティ的カレーそうめん
   カレー味マカロニグラタン=鍋焼き
 7 カレー味の麺類のまとめ
 コラム 濃縮出汁と和食の出汁文化との違い

第3章 和風スパゲティの爆発的進化
 1 「暮しの手帖」の和風スパゲティ
   うなすぱ
   かやくすぱ
   じゃあじゃあめんふう
   なすトマト載せ
   「壁の穴」の和風スパゲティ
 2 「和風」スパゲティの模索
   おせちスパゲティ
   おしんこスパゲッティ
   酢みそスパゲッティ
   納豆スパゲッティ
   スパゲティの和風化――ゆでたてに合うもの一覧表
 3 スパゲティ中華風
   冷製ゆで豚スパゲッティ
   餡かけスパゲッティは一九七三年生まれだった
 4 スパゲティ弁当の登場
   主食兼副食のスパゲティ弁当
   スパゲティミートソース弁当
   スパゲティランチ
   スパゲティべんとう
   スパゲティミートソース弁当
 5 スパゲティ弁当の時代、終わりの始まり
 コラム 洋食の巨匠・田中徳三郎とスパゲティ

第4章 マカロニ類の興亡
 1 タンバールというマカロニ料理
   マカロニタンバル
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

48
絶滅してしまった麺料理を再現してみる面白い内容です。西洋料理が家庭料理になっていく過程ではこんな面白い試みがあったのか!と満喫いたしました。カラーで再現されたものを見てみたいなあ…でも「もう一度食べたいとは思わない」系の感想が多いので白黒が正解なのかな。新しいものを貪欲に取り込み、試行錯誤してきた日本人。そのちょっとキッチュなバージョンといったところでしょうか。…作りたくなるレシピは確かになかったかもよ~。2023/06/22

ようはん

19
戦前の頃だと一般家庭でパスタ麺や中華麺を確保できず、婦人雑誌のレシピ集などではナポリタン等の洋風の麺にうどんやそうめんを用いていたという話。給食でミートソース風の汁にうどん状のソフト麺を使用していたのを思い出す。2023/09/12

フリウリ

6
昔の雑誌記事などに基づき、今となっては珍妙な麺料理を紹介、再現し、その感想を述べつつ背景などが考察されていて、楽しく読みました。化学調味料(味の素)について、70年代にその安全性が懸念され、家庭でも昆布や鰹節から出汁をとるように「回帰」したといわれるけれど、化学調味料で多くの日本人ははじめて「うま味」を知ったのであり、それ以前にうま味を求めて出汁をとるような考え方は一般的でなかった、という指摘はおもしろいと思いました。今や「言葉狩り」される「化学調味料」という語が、憚ることなく連呼されています。62023/06/10

y

1
明治〜昭和の料理本に載っていたレシピを再現するという著者の執念がすごいです。 自分で試してみようとは思いませんでしたが、ちょっと気になる料理はありました。 文章の端々に気になるものがありましたが、あとがきで納得な感じでした。 化学調味料については、へぇーと思いました。2023/10/15

ワタナベ読書愛

1
2023年刊行。今の日本で普及している麺料理(ラーメン、パスタ、焼きそばなど)がいつから、どういう経緯で誕生し、広まっていったのか?明治・大正・昭和の料理本を基に実際に料理を作って試食し、検証すること100品以上。思わぬ名品・珍品に面食らい、ひるまず麺喰らい、飽きずに綿々と研究し続けた根性と執念が凄まじい。今も昔も、メディアが流す情報と、ご家庭の実情が違うのは一緒だった。面倒くさがらず、一つ一つ実体験を積み重ねていった人だけが得る境地があった。ネットで検索してもまず出てこない貴重な話が満載。お腹いっぱい。2023/10/02

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