内容説明
カミを語ることは日本人の精神の歴史を語ること。竈神や座敷ワラシ。酒呑童子、ものくさ太郎に、山中の隠れ里伝承など、日本文化の深層に迫った妖怪学の第一人者の処女論文集。妖怪学の原点にして記念碑的名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らむだ
4
1978年に伝統と現代社から出版された著者最初の論文集の再刊。底本は1997年刊行の講談社学術文庫版。2023/05/02
大臣ぐサン
1
今では妖怪研究の第一人者となっている小松和彦先生の初期論文集だ。とにかく若さがほとばしり出ている!今の温和な小松和彦先生からは想像できないほど尖っている。この頃の小松和彦は民俗学というよりは比較文化論の立場に立っていて妖怪を専門にはしていない。しかし、柳田学、折口学に支配されていた当時の民俗学に構造分析という新たな手法を取り入れて、新たな流れを作り出そうという野心が満ち溢れており、その後の民俗学に与えた影響は計り知れない。その初めの論文が佐々木喜善の『江刺郡昔話』を取り上げているのも地元民として嬉しい。2024/01/08