内容説明
「志位委員長は直ちに辞任して、党首公選を行って選ばれる新しい指導部に共産党の改革を委ねるべきだ。」京都府委員会の専従・役員を経て、その後も地域の共産党後援会の会長を務める党歴60年の著者が、21年22年の国政選挙を経て見えてきた問題点を総括し、意見の相違を前提とした党運営、多数決の定着と党首公選、踏み込んだ安全保障政策議論といった改革を提案し、党新生の道を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
21
志位和夫委員長への手紙: 日本共産党の新生を願って。鈴木 元先生の著書。日本共産党歴60年の古参党員である鈴木 元先生から志位和夫日本共産党委員長への直言という内容の一冊。共産主義はイメージが先行しがち。共産主義を正しく理解している人は少ない。共産主義というと言論の自由が許されてないような印象を持つ人もいるのかもしれないけれど、日本共産党が風通しの良い組織であることのあらわれなのかも。日本共産党の問題点があるなら改善してより良い日本共産党になればすべての関係者にとって良いことなのかな。2023/12/28
nishiyan
11
党歴60年の古参党員の著者が志位和夫日本共産党委員長への手紙という形式で記した提言書。多数の論文を上梓した著者らしく、マルクス解釈や党外での活動で得た見識の数々を披歴している点は興味深い。また本書を読んでいると日本型組織の疲弊との類似に気づかされる。他薦で決まることが多い各役員の選出など民主集中制に垣間見える日本的な空気、機関紙拡大で党勢を伸ばしたという成功体験に縛られた上層部、歴代委員長が前任者の指名で決められたことの弊害の大きさだろう。ただ本書から著者の自戒の念が見えないところは残念でならない。2023/04/01
二人娘の父
8
共産党にとって京都は「聖地」である。全国平均得票率(約7%)の倍以上を獲得し、府議会議員数も12議席(議席占有率20%)ある。ちなみに大阪は2議席(占有率2.3%)。その京都で長く幹部を務め、現在も後援会長をしているという著者。さらには共産党幹部を数多く輩出する立命館大の出身。「なぜ松竹氏と違って除名されないのか」という問いには、こうした背景が、一つ回答となろう。しかし主張している内容は松竹氏とは桁違いに「過激」だ。ただし、出版を焦った痕跡(誤字脱字多数)が各所に見られ、正直これは売り物のレベルではない。2023/03/01
都人
3
読むに堪えない本だ。良い言い方では無いが「目クソが鼻クソに対しおまえの方が汚いと罵っている」様な印象だ。唯一賛同したのはp54「共産党は今、何よりもロシアのウクライナ侵略反対の大衆運動を抜本的に改善することに力を入れなければならないと思います・・・」。共産党に未来は無い。2023/09/08
K.C.
3
本書がきっかけで除名されてしまった元党員の著作。サブタイトルのような願望を持っているわけではないが、日本共産党への嫌悪感は、何も共産主義理論だけではないと思う。今は廃止した「前衛」だとか無謬性だとか、階級をなくそうとしているのに幹部が居丈高に対応するとか、そういうところではないだろうか。本書の指摘は、党中央にとってどう感じたどうか。その反応が除名なのではなかろうか。2023/05/07