内容説明
戦略家にして思想家、名門大学で大人気の講義をもつ博覧強記の著者が、人類最大の問いに挑む。進化論、文化、テクノロジー、地政学、平和、人道の6つの章を設定し、歴史学から生物学、古典文学からオンラインゲームまで縦横無尽に引用して論じるスリリングな戦争論。戦争は人間にとって本質的な営みであり、私達の文化に深く根付いているのだ。
目次
プロローグ
第1章 進 化 論
偏在性
多様性
複雑性
第2章 文 化
戦争は観念ではない
文化的な強化剤
平等になるために死を選ぶ
第3章 テクノロジー
専門化
「近視眼的な低俗さ」
代数学による戦争
戦争は小さくなるのか?
第4章 地 政 学
国家、市場、国際秩序
新たな地政学的思考
空間の多様性
大国同士の戦争は?
第5章 平 和
カントの断言
議論される概念としての「平和」
第6章 人 道
おどけた怪物たち
人類の苦境
自由意志の進化
さらに学びたい人のために
原書解説
訳者あとがき
原 注
著者・訳者紹介
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無重力蜜柑
12
シンプルなタイトルの本であり、シンプルな主張の本でもある。戦争はなくせない。その理由を、著者は進化論、文化、テクノロジー、地政学、平和、人道の六つのテーマに分けて論じる。解説でも言われていることだが、本書の最大の特徴はその記述の縦横無尽っぷりだろう。狭義の軍事学や安全保障、歴史学だけでなく哲学や心理学から生物学、文学の知見まで動員し、SFやゲームまで論じてしまう。『エンダーのゲーム』が出てきたのはかなり驚いた。ただ、その分まとまりや体系性を欠き、散漫で曖昧なエッセイ的内容になってしまったような気もする。2024/06/08
manabukimoto
2
戦争が排除される可能性はあるのか。著者の答えはNo。なぜなら戦争は生物学的に人間に組み込まれた営みであり、戦争を通じて人間は発展をとげ、なんなら「良い世界」を築きあげてきた。 戦争は自然な状態であり、常にあり続ける、これからもあり続ける。 進化論、宗教、文化、テクノロジー。様々な分野の賢人たちの言葉を自由自在に引用して、人間に組み込まれたものとしての戦争のめんどくささを説く。 最後の引用はフィリップ・ラーキン。「人間は人間に不幸を手渡す。それは大陸棚のように段々と深くなる」。 大阪府立中央図書館蔵書2025/04/18
lovejoy
0
★★2024/10/17
石田理輝
0
まだ読み切れた感じがしないが、戦争について心理学や社会学、大衆文化からの考察もしていて、面白い。知識を得てからまた再読してみたい。2023/02/23
さなぎ
0
人間の歴史は戦争の歴史。そして、戦争を通じて人は技術を、そして文化を「進化」させてきた。と著者は言う。戦争をしている方が自然であると。道徳的な進化は起こりはしない。ただ、もう、戦争による進化は要らないかなとも思う。人間は賢くはないが、それでも、戦争をしなくても進化する方法を考えることは放棄したくないと思う。2022/11/06
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