内容説明
大木毅監修・シリーズ〈人間と戦争〉4 監訳・解説:戸髙一成(呉市海事歴史科学館〔大和ミュージアム〕館長) 1941年12月10日、日本海軍航空隊の索敵機は、イギリスの最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスをマレー沖約50マイルにて発見した――日英両軍の資料を駆使して世紀の海空戦を克明に再現、海軍戦略を根本的に変えた2艦の最期を鮮やかに描く
感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
史上初めて行動中の戦艦を航空機が沈めたマレー沖海戦を、主に英側の視点で描いた戦記。水兵たちの証言を多く載せており、戦闘中はもとより沈みゆく巨艦から逃れる際の阿鼻叫喚な様子が非常に印象的。運よく助かった者もいれば、艦を救うために奮闘し間に合わなかった者もいる。海の戦場の厳しい現実である。また著者はトム・フィリップス提督の指揮について、擁護する部分もあるが全体としては厳しい論調で、英司令官の不見識を指摘する。ただ日本側も索敵情報の伝達が上手くいかず、完勝を収められたのは多分に運の要素が強いなという感もある。2023/06/23