内容説明
名門大学で生物化学の博士課程を目指す院生のウォレスは、南部出身の黒人でゲイ。ある夏、表向きはストレートの白人の同級生との出会いが、彼の中に眠っていた感情、痛み、渇きを呼び起こす。米国のミレニアル世代のリアルな葛藤を描く、ブッカー賞最終候補作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
52
忘れられない暴力の記憶、空気のように溶け込む差別、それに対する乾いた怒り、そして他者という不可侵領域を内に抱えて生活するということ。クィアの黒人男性が生きる鈍色の”リアル・ライフ”が生々しく描かれた精緻な現代文学である。派手なイベントが起きるわけではないが、押し潰されるような圧倒的現実感を作中人物と共に味わえる素晴らしい作品。持て余す感情やままならない人間関係が起こす強風は、読み手の心にも小さくないさざ波を立てる。これこそ文学でしか知ることが出来ない世界だ。とても良かった。2023/03/24
星落秋風五丈原
21
著者も同性愛者と書いてあればどのくらい投影されたのだろうと想像してしまう。単なる性的嗜好の違いだと皆割り切ってくれればいいのだがそうはいかない。2023/04/29
みかん
6
なんとも言い難い読後感。ウォレスは生物化学の博士課程を目指す院生。ほかの院生とちがのは肌が黒いこと、セクシャルマイノリティーであること。それでもクィアの友人は多い、でも肌が黒いのはウォレスだけ。彼の痛みは読み終えても理解はできなかった。2023/04/17
Erinelly
3
後半特に刺激強すぎて吐き気。しかし妙な麻薬的な楽しさがあり読了。 今まで読んだ本の中で、最も胸糞の悪いシーンが多い本の一つ。どうしてそこで言い返さないの!?という歯痒いシーンも非常に多かった。しかしその沈黙も、レイシズムが引き起こさせるものなのかも。 本の帯には人種、性的指向、階級、故郷がファクターとして挙げられてたけれど、わたし的にはそれに加えて、もしくはそれ以上に、性的虐待サバイバーの話だと思ったし、愛着障害やHSP気質の話だと思った。2023/04/09
石
2
ああ、これは辛い 人間関係の諍いや不和が微に入り細を穿つようにネチネチと描写され、読んでいて息苦しくなるほど 白人と黒人の間だけでなく、マイノリティ同士でも超えられない壁があるという現実が悲しい2023/04/21
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