内容説明
コーエン兄弟監督映画「ノーカントリー」原作 ヴェトナム帰還兵モスがメキシコ国境付近で発見した死体と大金が、更なる殺戮を呼ぶ。〈国境三部作〉後の衝撃作。解説/佐藤究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅう
124
コーエン兄弟が撮った映画『ノーカントリー』の原作本。映画は公開当時、劇場で観て鮮烈だったのを覚えている。小説も同等に面白かった。砂漠に転がる多数の死体と大金。ヴェトナム帰還兵のモスはその金を持ち逃げする。いったん自宅へ戻るが、末期の水を届けようと情け心を出し、再び砂漠へ舞い戻るモスだったが、それが運の尽きだった。殺し屋シガーに身元を割られ、ひたすら追われる身となる。純然たる文学作品だがエンタメ要素もふんだんに盛り込まれている。そして、各章の頭でモノローグを語るベル保安官の優しさと孤独とが浮き彫りになる。→2025/12/11
まふ
106
殺人鬼シガーは麻薬代金と思しき大金を偶然手にしたヴェトナム戦争帰りのモスの行方を追う。シガーは自分の世界の論理に抵触するものはすべて情無用に射殺する。モスはシガーに追いかけられて逃げ、妻とその母も巻き添えになる。シガーは死なず善良な人々が死んでゆくばかり、唖然とする。これぞマッカーシーの世界というべきか。モスが途中で出会った家出少女との長い対話が可愛すぎて結果的にこの小説の無情さを浮き立たせている。解説ではこれをしも「純文学」と呼んでいるが、うむ、と考えさせられる。 G1000 。2023/05/30
ケンイチミズバ
103
映画を見て原作も読んだ。完全ネタバレなのになぜまた読むのか、それはこの世界観に浸りたいから。再読理由のいちばんはそれ。人に不条理な死をもたらす殺し屋にも、そのしっぺ返しがラストに待っている。シガーの行いはあらゆる人を分け隔てなく死に至らしめるが、気まぐれに幸運ももたらす。神と同じなのだ。そして、人間はやはり神様のおもちゃなのかも知れない。出来損ないだから自ら危ないことをするためにのこのこ出向いて行ったり、理屈では語れない行動をする。そして上の方から神様は笑って見てる。おかしくなる一方の世の中を私も感じる。2023/04/07
sin
65
『血と暴力の国』というタイトルで扶桑社から出版された作品…タイトルの『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』出版社が違うので改題と銘打つ必要はないだろうが、そして扶桑社版でもサブタイトルのように“NO COUNTRY FOR OLD MEN”と表記されていたのだが気が付かず購入してしまった。以前は『血と暴力の国』と云うタイトルから感想が膨らんだが見るべき処は同じだ。◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/334878 2023/03/24
ヘラジカ
62
ほぼ9年ぶりの再読。9年経ってもクライムノベルでベスト3に入れてしまうくらいに好きな傑作だ。話題沸騰中の「The Last of Us」ディレクター、ニール・ドラックマンが影響を受け、目指したのもこの小説と映画だとか。ゲーム自体『ザ・ロード』の影響が色濃いとは思うが、映像化の企画段階で敢えてこの作品の名前を挙げていたのが興味深い。バイオレンスの表現者はコーマック・マッカーシーを避けて通ることは出来ないのだろう。まさしく巨匠の凄さを体感できる一冊。2023/03/25




