内容説明
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漫画界のアカデミー賞といわれるアイズナー賞を4度受賞し、アメリカ、フランスをはじめ世界中で大人気の鬼才・伊藤潤二。画業35周年を迎えたいま、はじめて自らの頭のなかをさらけ出す待望の一冊。名作が生まれた裏話から、アイデアの源泉、キャラ、ストーリーへの思いまで……。奇想天外・奇奇怪怪な世界の作り方をぜんぶ書く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
89
ホラー漫画家・伊藤潤二が、自分の創作がいかにして生まれたかを語る。自分の生い立ちや歯科技工士として働いていた頃のことも描かれていた。これらの経験から数々の傑作が生まれてきたのだなと興味深く読んだ。一つ一つの作品についても、企画中のスケッチやネームも紹介しながら解説している。アシスタント経験もなく、漫画の描き方もよく分からない中、異様な風景やイメージを表現したくて創り上げてきた作品には、しっかりオリジナリティがあり、恐怖の哲学があるなと思った。ページの端には、パラパラ漫画が描かれていて、それも楽しい。2023/07/08
たぬ
20
☆4.5 ちょいちょい読んでる伊藤潤二。幼少期のこと、歯科技工士時代のこと、好きな漫画家・音楽・映画、作品の組み立て方、キャラクターのことなどなどたーっぷり。盛り沢山の内容でたいへん楽しめました。たぶんそうなんだろうとは思っていたけど設定の細かさは想像以上でしたね。ほかに楳図かずおを筆頭に影響を受けたホラー漫画家への敬愛ぶりが好印象でした。【カバーは絶対めくっちゃダメ!!】2024/06/02
Kanonlicht
20
『富江』『うずまき』で有名な著者の、幼少期から職業漫画家になるまでを振り返る自叙伝的パートが半分。残りの半分で、ストーリーやアイデアの発想法、キャラクターのつくり方などを解説している。特に作品のモチーフの選び方について、「くっつけてはいけないもの同士をくっつける」「自然界の構造を利用する」など、著者の作品に共通するエッセンスのようなものを知れて興味深かった。でも、あれだけ個性的なキャラクターを登場させておいて、キャラクターにこだわりがないって、どういうこと(笑)2023/03/25
ようへい
15
ホラーなのに不意に襲ってくるギャグっぽい何か。エッヂの利いたプロットの節々から滲み出る郷愁。その塩梅たるや見事です。メジャーコードにマイナーの音を加えて何だかアンニュイな感じになるような絶妙なハーモニーを生み出す源泉とは一体何なのでしょうか。先生は幼少期に楳図かずおや日野日出志などのホラー漫画を読み漁っていたといいます。もう完璧な英才教育じゃないですか。やっぱり幼少期の経験と蓄積って大事なんですね。自分は何を積み重ねてきたか。何が好きだったのか。少し振り返ってみようと思います。いや、ゲームしかないな。2024/03/08
スリカータ
14
NHKの番組で初めて伊藤潤二さんを知り、その精緻な筆致が印象に残った。本書は表紙に赤い穴が開いていて凝った作り。中身も伊藤潤二ワールドで興味深い。親戚に勧められるがまま歯科技工士になり、梅図かずお賞に応募して佳作(最高位)を得てデビューという。経歴については全く知らなかった。梅図かずおさんもそうだけど、第一に女性が綺麗だし、背景も含めて細部の描き込み、正確なデッサン力が素晴らしい。2024/05/19