内容説明
10代から茶道や弓道に親しみつつ、和菓子修行をしてきた眞白は2年前、念願だった日本茶カフェを開いた。店で供される和菓子の美しさ、美味しさもさることながら、その皿や茶わんも訪れる客の心をとらえている。眞白がこつこつと集めてきた器には時折、金で継いだ跡がある。実は、幼馴染の七堂夏樹が「金継師」で、割れてしまった皿や茶わんを漆で継いで修復し金を捲く伝統技術「金継ぎ」の若い職人なのだ。彼の工房がカフェのすぐ裏なので眞白はしばしば彼のもとに通う。工房には同じく幼馴染で神社の跡継ぎの亀岡桜士郎もよく現れる。不器用な3人の「修復」物語が「金継」を通して綴られる、北鎌倉青春ダイアリー!
目次
1 白と金
2 桜と金
3 夏色の金
4 玄と金
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
63
何かを創るということは、モノだけでなくひとも明日につなげていくことなんだ。疲れた夜、落ち着いた物語が読みたいかたへ。2023/03/29
坂城 弥生
36
金継ぎの鎌倉七福堂を中心にした優しい物語。2023/04/22
よっち
33
北鎌倉で和菓子職人をしながら日本茶カフェを営む眞白。彼女と幼馴染二人を取り巻く人々やそれぞれの修復が綴られる青春ダイアリー。複雑な生い立ちで両親に引け目を感じている眞白、相貌失認症のような状況で学校に馴染めなかった夏樹、そして祖母に厳しく育てられた反動で神社の跡継ぎをゆるく務める桜士郎。それぞれが抱えるものを理解して寄り添ってくれる、不器用だけれどかけがえのない確かな絆があって、引きこもりで美味しい料理を作る夏樹の叔父・玄も交えた関係がこれからどう変わってゆくのか、その続きをまた読んでみたいと思いました。2023/03/16
coco夏ko10角
20
北鎌倉で和菓子職人をしながら日本茶カフェを営んでいる眞白、金継師の夏樹、神社で権禰宜として過ごしている桜士郎。それぞれの想いや金継ぎを通して感じたこと。時々持ち込まれる依頼の事情。物語と北鎌倉の空気が合っててとてもよかった。続編出たらいいな。2023/12/15
遙
17
北鎌倉。[あそこは時を止めたままでも許される街なんだ] この言葉で、行ってみたいなと思いました。そんな街に住む4人の登場人物達。和菓子職人の眞白、金継ぎ師の夏樹、神社の後継ぎの桜士郎は幼馴染。そして、夏樹の甥で引きこもりの玄。 みんな訳ありだけど、美しく優しい街、北鎌倉で、それぞれ生きている。 [人も器も。こわれて、なおして、強くなる。]良いキャッチフレーズ。 それぞれのエピソードも、優しい気持ちでも読めました。続きがあるなら読みたい 今後の人間関係が気になります。2023/05/04