記憶と想起の教育学 - メモリー・ペダゴジー、教育哲学からのアプローチ

個数:1
紙書籍版価格
¥4,400
  • 電子書籍

記憶と想起の教育学 - メモリー・ペダゴジー、教育哲学からのアプローチ

  • 著者名:山名淳
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 勁草書房(2023/04発売)
  • ポイント 40pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326251674

ファイル: /

内容説明

記憶(憶えとどめておく能力とそのための仕組み)と想起(特定の内容を再び呼び起こす動的な過程)は、教育および人間形成とどうかかわるのか。この問いに対し、教育哲学を足場として多様な視角から検討する。人間形成に関する学問と記憶の関係、書くことや記憶継承をめぐる問題について論じつつ、〈記憶の教育学〉モデルを構想する。

目次

はじめに──「記憶」が導く教育への問い[山名 淳]

第一章 記憶・想起と人間形成[ローター・ヴィガー/山名 淳 訳]
 はじめに
 一 ヨーロッパの哲学における記憶と想起
 二 文化科学における記憶と想起の形式
 三 想起と人間形成の対象としてのホロコースト

第二章 教育における「記憶」の意味転換──実験心理学的記憶研究の教育論への導入をめぐって[今井康雄]
 一 消え去らない「記憶」
 二 一九世紀ドイツにおける記憶と教育
 三 実験心理学と記憶研究──ダンジガーの心理学史研究から
 四 記憶をめぐる教育論──エルンスト・モイマンの場合
 五 現代的な教育論の構図へ

第三章 「当事者」について記憶の観点から考える──当事者研究と現象学的質的研究を手がかりに[大塚 類]
 一 問題の所在──「当事者」とは誰か
 二 当事者研究における当事者と記憶
 三 現象学的質的研究における意味と当事者性
 四 現象学的質的研究における記憶と当事者性の拡大
 五 「当事者」とは誰か

第四章 ハンブルクの「ゲニウス・ロキ」を想起する──アビ・ヴァールブルク「文化科学図書館」をめぐるビルドゥング・トポグラフィ[眞壁宏幹]
 はじめに
 一 ハイルヴィヒ通り一一六番地(Heilwigstrasse 116)
 二 ドーム広場(Domplatz)
 三 エドムント・ジーマース・アレー 一番地(Edmund-Siemers-Allee 1)
 四 スイス・クロイツリンゲン(Kreuzlingen)
 五 ボルン広場(Bornplatz)
 おわりに

第五章 社会的記憶と個人的記憶の汽水域としての自伝──ルソーにおける抗いのエクリチュール[室井麗子]
 一 ルソーによる「社会」への反抗と自伝
 二 ルソーが反抗した「社会」とは何か
 三 「集合的・社会的記憶」への反抗──ルソーの自伝的著作と抗いのエクリチュール
 四 抗いのエクリチュール──諦念と希望

第六章 誰が記憶を語りうるのか──文学研究の観点から記憶叙述の「当事者性」を検証する[三村尚央]
 一 「記憶のフィクション」がはらむ困難
 二 非当事者による「リアルな表現」とは──北条裕子「美しい顔」
 三 原爆の経験を再構築する──アラキ・ヤスサダとカズオ・イシグロ
 四 ホロコーストの記憶を継承するとは
 五 証言することの困難と「ハイブリッドな証言」、そして叙述の技法としての「聞き書き」
 六 記憶を叙述する困難を乗り越えるために──「喪とメランコリー」再考

第七章 記憶の継承をめぐる共同性と公共性の関係──H・アレントにおける「語り口」の問題をてがかりに[田中智輝]
 はじめに
 一 「語り口」をめぐるアレントとショーレムの論争
 二 記憶と責任の継承における共同性と公共性の問題
 三 アレントにおける「語り口」の問題
 四 公共性の源泉としての私性──むすびにかえて

第八章 「身ぶりとしての抵抗」の習慣形成──鶴見俊輔の戦争体験と反射の自己教育[西本健吾]
 一 抵抗の習慣──問題の所在と本章の目的
 二 鶴見の戦争体験
 三 「反射」の自己教育
 四 反射の自己教育における記憶の役割
 五 「身ぶりとしての抵抗」としての反射──まとめにかえて

ほか

最近チェックした商品