内容説明
人類の歴史が始まって以来、私たちの信仰、科学、芸術、資源の源として存在し続けている鳥類。精神と生命を支えてきたその生物を、人はどのように捉え、利用し、そして保護しようとしているのか。鷹狩りの歴史、ダ・ヴィンチが興味を引かれたキツツキの舌、鳥が部位ごとに持つとされた薬効、海鳥の利用と個体数減少など、1万年以上にわたる人間と鳥の関わりを、イギリスを代表する鳥類学者が語り尽くす。
目次
序文
第1章 新石器時代の鳥
鳥類学のゆりかご
動物壁画の考察
第2章 古代エジプトの鳥
大量のトキのミイラの意味
墓壁に描かれた鳥
古代エジプトで見られた鳥
鳥のミイラの役割
第3章 古代ギリシャ・ローマにおける科学の黎明
生まれる子どもは誰の子か?
アリストテレスの方法
自然誌家プリニウス
古代ローマ人の珍味好き
鳥を通して見る世界
第4章 男らしさの追求──鷹狩り
バイユー・タペストリー
鷹狩りとステータス
装飾写本と鳥
フリードリヒの『鷹狩りの書』
アリストテレスの復活
鷹狩りに対する逆風
動物に対する敬意
第5章 ルネサンスの思想
キツツキの驚異の舌
解剖学的研究の発展
オオハシの真実を求めて
「有害鳥獣」の指定と駆除
鳥の薬効
第6章 科学の新世界
ターナーの鳥の絵
新しい科学の手法──観察と分類
ドードーの真の姿
魅惑の新大陸
ケツァールの輝き
先住民の鳥利用
ステータスとしての羽
植民地化による知識の搾取
自然科学と宗教のはざまで
第7章 海鳥を食べる暮らし
海鳥の楽園フェロー諸島
フェロー島民による鳥猟
ウミガラスの卵の味
銃がもたらした悲劇
フルマカモメを食べる
人語を真似るワタリガラス
セント・キルダ群島の場合
生きるための殺生
第8章 ダーウィンと鳥類学
セルボーンの博物誌とダーウィン
博物誌の読者たち
鳥を飼う利点──鳥の生態と人の思惑
神と自然選択
反ダーウィン論
カッコウという存在の矛盾
ラファエル前派と進化論
ジョン・グールドのハチドリ愛
第9章 殺戮の時代
裕福な青年鳥類コレクター
剥製ブームの到来
世界の大物コレクター
殺生とその正当化
収集活動と絶滅
コレクターの悲哀
収集欲と問われるモラル
博物館の存在意義
収集欲の果てに
第10章 バードウォッチング──生きた鳥を見る
観察して推論する
バードウォッチングの発展と標識調査
アマチュア鳥類学者の誕生
鳥好きの分類
鳥類学に向く人とは
鳥を記録する喜び
鳥を追跡する技術
第11章 鳥類研究ブーム──行動、進化と生態学
ある鳥好き夫婦の功績
ドイツの鳥類研究
ティンバーゲンによる動物研究の4つの指標
自然選択が働くのは個か種か
行動生態学の躍進
鳥類学と「利己的な遺伝子」
カササギの配偶者防衛
鳥類理解の深まり
第12章 人類による大量絶滅
消費の末の絶滅
海鳥保護のいきさつ
ファッションと羽
鳥類保護の第一歩
ウミガラスと私
ウミガラス研究の魅力
気候変動から受ける影響
長期研究の意義
エピローグ
新時代への転換点
自然への共感
心のときめきと科学
謝辞
訳者あとがき
図版クレジット
参考文献
原註
索引
感想・レビュー
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榊原 香織
らびぞう
takao
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コウみん
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