内容説明
作家・岸田奈美の新たな代表作。
著名人からも絶賛&感動の声続々!
笑えて、泣けて、救われる。
新時代の書き手が綴る、心を揺さぶる傑作エッセイ。
「大好き」を言葉にし続けることが、
こんなに笑えて泣けるなんて。 ――藤崎彩織
笑いと悲しみは同じところにあって、希望と絶望も同じ場所から生まれる。
それを軽やかに教えてくれる、処方箋みたいな本だ。
しかもとびきり笑えるんですよ。 ――佐久間宣行
腰を下ろした、彼女の目線。優しさと逞しさ。そして、ユーモア。
今、世界に足りていないこれらに満ち溢れた、最高峰のエッセイ。
岸田奈美は、運命に愛されている。 ――リリー・フランキー
わたしがしなければならなかったのは、わたしを好きになることではなかった。
嫌いなわたしの中にしか起き得ない感情を、わたしの中にしか生まれない言葉で、書くことだった。
どんなにつらくても。難しくても。時間がかかっても。飽きても。褒められなくても。
ようやくたどり着けたここから先に、たぶん、愛がある。
本作は小説誌『小説現代』で連載をしていた「飽きっぽいから、愛っぽい」を書籍化に際して、加筆修正したものです。
【電子特典】
noteの有料購読マガジン「キナリ★マガジン」で発表したショートエッセイ「たまたき」を電子書籍特典として収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
80
母親ひろ実さんの本を読んだあとの娘奈美さんのエッセイである。弟がダウン症で生まれ、中学2年生のときに父親を亡くし、高校1年生のときに母親が病気で下半身麻痺になった岸田家。健康だった父親が急性心筋梗塞で突然亡くなり、最期に会話した言葉が「パパなんか、死んでしまえ」だったが、意識を失う直前に父親が母親へ残した「奈美ちゃんは、大丈夫。俺の娘やから、大丈夫や」、呪いの対象は父の病気ではなく、愚かな私だったという〈筆を伸ばす、私を思う@西宮浜〉。→2023/10/16
ででんでん
70
奈美さんの文章は楽しい。それだけではなく、心をゴリゴリと削り取ってもいく。笑かされながら、ドキッともする。一度「ニュースおかえり」も観てみなくては(笑)「機嫌が良いときをしっかりと探して、口に出さない言葉にこそ、目を向けたい」「毎日は終わりの連続でできている。ただ、目に見えないから、考えようとしないだけで。終わりは止められない。でもせめて、終わりをきちんと仕舞うか、そのへんに捨てるかは、わたしだけが選べる。」2023/06/23
sayuri
60
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし』で、すっかりファンになった岸田奈美さん。本作も良かった。1991年生まれ、まだ32歳の若さで、途轍もなく辛い経験をされて来た奈美さんから紡がれる言葉は、真摯で温かく時に切ない。お父様を13歳の時に亡くし、車椅子のお母様と、ダウン症の弟さんとの暮らしが大変な事は想像に難くない。けれどそこに悲壮感はなく、苦しみさえ笑いに変える奈美さんから元気を貰える。ひとつひとつのエピソードに笑いと涙と愛がある。人間力が高い彼女を素直に見習いたいと思える一冊。2023/08/31
れっつ
47
岸田奈美さんの体験や所感を"場所"別に思い起こして綴られたエッセイ集。家族との密度の濃い思い出が中心なのが奈美さんらしく、それが現在も彼女を形作っていることがひしひしと伝わってくる。「エッセイを書くというのは、大切な人と出会いなおすことに近い。」と書かれた通り、子どもの頃の記憶から、自分や家族の思いが時を経てわかるくだりは感慨深い。今更ながら、家族や出会った大切な人とは普段から気持ちを伝え合っておくことがとても大事だと思った。奈美さんの軽快な筆致の中に、自分にとっての光る2行が沢山見つかるおすすめの1冊!2023/05/03
くれよん
30
岸田さん家族の事をエッセイで読んでいるから大変な事のはずなのにユーモアでもって笑い話しにしたり何でもない日常のように書かれている。みんないい人、家族が支えあっているから辛い事も笑って過ごせるのかな。2024/03/30