象の旅

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象の旅

  • ISBN:9784863854819

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内容説明

ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。

象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。それが人生というものです。

ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。

【著者】
ジョゼ・サラマーゴ
1922年、ポルトガルの小村アジニャガに生まれる。様々な職業を経てジャーナリストとなり50代半ばで作家に転身。『修道院回想録』(82)、『リカルド・レイスの死の年』(84)、『白の闇』(95)で高い評価を得て、98年にノーベル文学賞を受賞。ほかに『あらゆる名前』(97)、『複製された男』(2002)など。2010年没。

木下眞穂
上智大学ポルトガル語学科卒。ポルトガル語翻訳家。訳書に『ブリーダ』(パウロ・コエーリョ)、『忘却についての一般論』(ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ)、『エルサレム』(ゴンサロ・M・タヴァレス)など。『ガルヴェイアスの犬』(ジョゼ・ルイス・ペイショット)で2019年に第5回日本翻訳大賞を受賞。

目次

象の旅
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

150
1551年、大公の婚儀祝いとしてリスボンからウィーンへ贈られた象の旅。徒歩以外輸送手段がない当時、スペインで大公と合流後はイタリアを抜け冬のアルプスを越える過酷な道中だった。情報を殆ど得られない著者は"些末な事"の集積と、宗教や西欧的価値観から距離を置いた象遣いに代弁させる事で風刺とユーモアに満ちた喜劇に仕上げた。往年通り理性面の脆さや母国への痛切な皮肉は随所で描かれるものの、憐憫や温情も充分に感じられる様は随分丸くなった印象で、劇的な事件の起こらない筋も病後の老人の人生観のメタファーだけに覇気に欠ける。2024/02/11

どんぐり

96
ポルトガルのノーベル賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴの晩年を記録した映画「ジョゼとピラール」をYouTubeで見てから、読み始める。物語は16世紀、マクシミリアン2世への結婚祝いに贈るインド象のソロモンと共にリスボンからウィーンまで移動する象遣いスブッロの旅。饒舌な語りの文体でサラマーゴは、象が訪れる先々での出来事をユーモラスに描く。この物語のハイライトは、聖アントニオ大聖堂の神父たちの求めに応じた象遣いが、大聖堂の前で象を跪かせる場面。結局、アルプス越えを果たし、この旅行記は待たれた場所へ辿り着く。→2021/11/20

キムチ

94
予想以上に含蓄が有り、筆者だからこその風刺とユーモア感覚の楽しさで宙に舞えた。改行無しと言えどもフォークナーに比べると読み易い。「白の闇」だけ既読の為、構えたのも杞憂に。85歳の執筆とは思えない柔らかな脳!赤貧の出から苦歴を重ねての作家だけが持ち得る輻輳の旨味を与えてくれる。些かマルケス他中南米の作家群を思い浮かべた。訳者後がきの知識もかなり役立つ〜「ジョゼと…」の映画は観たいな。16Cの情景…象、象使い、葡国王。手にする事実は極少の中彼程に筆者の想像力の翼に乗り飛びまくれる読書は稀有に近い。象の一生を→2025/04/10

アキ

92
ポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴ晩年の作品。1551年ジョアン三世の治世時、オーストラリア大公マクシミリアン二世への婚儀の祝いとして贈られた象の実話。といってもリスボンから船でジェノバ、ヴェネツィアからアルプスを越えてインスブルックから川をウィーンへ到着した旅程の資料はほぼなく、象ソロモンと象使いスブッロの、当時のプロテスタントとカトリックなどの世相を映したフィクション。ウィーンに着いた後の象の最期が悲しい。「結局われわれは待たれた場所へとたどり着く。」私のたどり着く場所はどこなのだろう。2021/12/12

chantal(シャンタール)

82
ポルトガル国王ジョアン3世から結婚のお祝いとしてオーストリア大公マクシミリアン2世に贈られた象のソロモン。象遣いのスブッロと共にスペイン、イタリアからアルプスを越えウィーンへと旅する。話し言葉に「」がなく、段落がないためページが文字でぎっしり埋まっており、読むのに時間がかかった。ノーベル賞作家の史実に基づいた作品らしいが、お話は淡々としており、ポルトガルについてほとんど知識もないため、作家の自虐的なペーソスなども理解できず、象と象遣いの絆が微笑ましいと言う他言葉が見つからない・・不思議な作品。2022/01/21

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