アメリカは内戦に向かうのか

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アメリカは内戦に向かうのか

  • ISBN:9784492444733

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内容説明

『フィナンシャル・タイムズ』『サンデー・タイムズ』『エスクァイア』などの2022年ベストブックに輝いた話題作、待望の邦訳。

トランプの大統領選再出馬は2度目の南北戦争を招くのか。
アメリカを代表する政治学者による20年に及ぶ徹底調査と歴史的な分析。
世界中で「内戦」が急増している現状とその原因、アメリカでも内戦が勃発する潜在性が高まっている状況を読み解き、警告する。

アメリカ、そして世界に衝撃を与えた「Qアノン」扇動による2021年1月に発生した前代未聞の連邦議会襲撃事件。トランプ政権時に進行していた市民分断の最終章とも言えるようなこの事件は、今後の本格的な党派闘争の序章になるのだろうか。
内戦を専門とする政治学者が、過去の内戦に関するデータから、イラク・北アイルランド・インド・フィリピンなどを具体事例として、紛争が発生する契機と紛争が起きる条件と心理についてのパターンを分析。
また、現代の紛争を拡大・激化させるソーシャルメディアというツールについて考察することで、アメリカの内戦の危機接近度を明らかにしていく。

目次

日本語版へのメッセージ
序章 今、内戦の時代が始まろうとしている
第1章 アノクラシー ――魔の中間地帯
第2章 暴動の発火点
第3章 「格下げ」がもたらす悪夢
第4章 希望が死ぬとき
第5章 暴動増幅装置 ――SNSの罠
第6章 足元に忍び寄る不吉な影
第7章 内戦――真実の姿
第8章 内戦を阻むために今なすべきこと

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

108
民主主義国家では国民は投票権の代わりに直接行動を禁じられ、気に入らない思想や人種や宗教とも共存せねばならない。どれほど嫌いな政治や法律の支配下であっても、それが多数派なら従うシステムだ。しかしグローバル化に伴う格差拡大や難民の急増などで、システムの前提である民衆の忍耐は限界に近付いている。そんな声なき声をSNSは拾い上げ、結集させる武器となった。仲間を集め忍耐を拒み、暴力や内戦に訴えてでも自分たちの望む社会を約束する指導者を待望するに至った。未来のルドルフ大帝は間違いなくSNSを操る者から生まれるだろう。2023/05/05

朝ですよね

5
ユーゴスラビアやルワンダなどの事例を紹介し、内戦に至る経緯を概括する。ポリティV、フリーダムハウス、V-Demといった民主主義測定データセットによると、内戦はアノクラシー(専制と民主主義の中間)で発生する。また、急激なスコア変動はリスク要因である。アメリカで考えられそうなのは人種や宗教といった基盤を持つ集団が既得権を失う時に暴力的な手段を用いるというシナリオで、「格下げ」という内戦発生の常套パターンと重なるものである。SNSは恐怖を増幅するので、これらに対抗する集団が先に武装する事も考えられる。2023/10/17

chiro

5
来年にはアメリカ大統領選挙が控えており、共和党候補としてトランプが再び選ばれるかがこれからの最大の関心事になると思われるが、この著作は2020年の大統領選後に議会を襲うという民主国家として予想もできなかった事態が最も民主主義の発達した国と称せられたアメリカで起こったという事が何を反映し、それがエスカレートする事による内戦の可能性をこれまで多くの内戦を研究してきた著者が著したものである。この著作を読む限りアメリカの内戦の可能性は否定できないところまで来ていると感じた。2023/06/24

K.C.

4
興味深く読む。なぜアメリカがまとまり、分断していくのか。過去は人種の問題だったが、現在はイデオロギーかも。日本でも、考えの違う人を、他人でも口汚く罵るのは観ていられないが、決して分断も遠い世界ではなさそうだ。2023/09/23

八八

3
"アメリカは内戦になるか?"というタイトルは、やや過激で荒唐無稽でセンセーショナルに感じるかもしれない。しかしながら、著者は内戦に関する研究から、アメリカにおける不穏な傾向を指摘する。アノクラシーという概念を軸に、民主主義の瓦解、権力や権利への正当な接続手段喪失への危機感、派閥主義など、内戦の要因を分析しアメリカの現状に警鐘をならす。また、本著は、内戦研究が、どのようなことを明らかにしているのかを理解する入門書としてよい。トランプが再選した場合、どうなるのか注意を払う必要がありそうだ。2024/03/26

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