文春文庫<br> 逃亡

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文春文庫
逃亡

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥680(本体¥619)
  • 文藝春秋(2023/03発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167169480

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内容説明

戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作

戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは?
軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。
解説・杉山隆男

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

青乃108号

145
戦時中、空軍にて。最初は、ただ彼が山田にトラックで送ってもらっただけだったのに。彼は山田にそそのかされ落下傘を盗み、山田に渡してしまう。小心者の彼は心配する。ばれたらどうしよう。度々彼を訪ねる山田の、彼に対する要求はエスカレートし、なんと戦闘機を爆破してしまったりする。彼は心配する、ばれたら銃殺。で、ついには逃亡。小心者の彼の、いちいち揺れ動く心理描写が面白い。小心者の彼の、必死の逃亡劇を思わず応援してしまう事必至。やっぱり、吉村昭の小説は面白いなあ。2023/09/08

yoshida

139
ふとしたことで訪れる人生の綾。海軍整備兵の望月は、航空基地への帰路に終電を逃す。懲罰を恐れる望月は、トラックに乗せようと言う男に頼る。男の便宜の為に軍記を犯した望月。ふとした綻びから事態は大きくなり、更には露見、望月は基地を逃亡し、別人になりすまし潜伏する。吉村昭さんの本人への聞き取りによる実話であり、本人と上官の再会には驚く。吉村昭さんへ電話をかけて来たUと名乗る男が25年間の逃亡の扉を開けた。Uは何者なのだろうか。非日常の戦時下において、様々な事件が起きていた。特に飯場の様子は過酷。興味深い作品。 2019/09/29

アッシュ姉

85
登録本1200冊目、吉村昭さん19冊目。海軍航空隊の若き整備兵が逃亡を余儀なくされ、過酷な運命に翻弄されていく様子を固唾を呑んで見つめた。主人公が純朴な青年ということもあって、重厚感や迫力は他作品の方が勝るが、脱走にいたるまでの緊迫感、追われる恐怖、どこまでいっても解けない緊張がひしひしと伝わってくる。厳しい戦時下において偶然の出会いから数奇な人生を歩むことになった男の逃避行は、全てを告白することでようやく終わりを迎えることができたのかもしれない。2019/03/13

at-sushi@ナートゥをご存知か?

84
「終電を逃しただけなのに」、若干二十歳の整備兵が、ある男との出会いをきっかけに軍規を破り、やがて素性を隠し地獄のような飯場を転々とするまでに運命を狂わされていく。追いつめられた若者の心理描写がリアルでスリリング。それにしても「U」は何者だったのだろう。2021/02/14

ペグ

82
吉村氏の作品にしばしば登場する(逃げる男)。第二次世界大戦中を背景に 主人公望月幸司郎の焦りや不安が手に取るように伝わります。淡々と描くことにより、より一層臨場感が増す吉村氏の作品〜次は「破船」です。2022/07/07

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