日本近・現代史研究入門

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日本近・現代史研究入門

  • 著者名:松沢裕作/高嶋修一
  • 価格 ¥3,960(本体¥3,600)
  • 岩波書店(2023/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 1,080pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000615617

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内容説明

日本近代史・現代史の論文を書く,すべての初学者のために――.テーマの決めかた,史料について,調査の方法,目次のつくりかたなど歴史研究の基盤を,論文執筆の作業フローに即して基本から解説.第一線の研究者たちが提供する大きな見取り図が,研究史と向き合うあなたを助けてくれる.必要なことは,この一冊で分かる!

目次

はじめに 何が悲しくて研究するのか?
この本は何のために書かれているのか
なぜこんな本が必要なのか
それでも研究するのか?
第Ⅰ部 研究を始めよう 論文を書き終えるまで……松沢裕作・高嶋修一
1 とりあえずテーマを決める
テーマとは何か
最初は思いつきでもよい
史料の有無
たいていのことは誰かが研究している ──先行研究の有無
なぜその研究対象・研究テーマを思いついたのか
何も思いつかない場合
テーマの見直し
2 先行研究をつくる
何がどう「先行」するというのか
とりあえず検索してみよう
入門書から読んでみよう
専門的な文献を読む
もっと探す
先行研究整理を書く
3 史料とは何か
同時代人に原則として開かれていた史料
同時代人の一部が目にすることができた史料
史料集
史料の種類と所蔵機関・閲覧方法
新聞  雑誌  法令  統計  企業史料 書籍  公文書  政治家・官僚・軍人の個人文書・日記 「家」の史料  帝国議会議事速記録・国会会議録 国外所在史料
辞書・事典・年表
4 データベースを使う
データベースにはどのような情報が入っているのか
すでに知っている文献を探す場合と未知の文献を探す場合
どのようなデータベースがあるか
5 所蔵機関を探して訪ねる
史料調査に行こう
公的な所蔵機関を訪ねる
史料を閲覧する
史料を撮影する
行政文書の情報公開
史料を「見せていただく」場合
記録と整理
そのほか注意しておくとよいこと
6 史料を読む
作業としての「史料を読む」
文字史料の場合
数字の場合
史料の内容を疑ってみることが必要な場合
7 目次構成を考える
目次は論文の見取り図
「論」と「文」
とりあえず「文」を目指す
「論」を立てる① ──事柄同士の関係
「論」を立てる② ──先行研究との関係
人に説明する
8 書 く
あとは書くだけ
図表をそろえる
材料を配置してつなげる
注を付ける
「はじめに」と「おわりに」
仕上げて提出する
第Ⅱ部 先行研究の見方 あなたはどこにいるのか
総論
研究者たちは何に関心を持ってきたのか……松沢裕作
(1)何かきっかけがある──研究の潮流を眺めよ
(2)明治時代を歴史にする──吉野作造と明治文化研究会
(3)明治時代に起源を探る──日本資本主義論争
(4)その後の明治維新論
(5)ふたたび,「何が悲しくて(嬉しくて)研究するのか?」
近代と現代 いまひとたびの時代区分論……高嶋修一
(1)昔と違う「いま」
(2)帝国主義と現代化
(3)戦後社会と現代化論
(4)「いつだったか」から「どうであったか」へ
(5)時代区分は時代遅れか──まとめにかえて
政治史1
政党政治研究の意義と昭和史研究への課題……米山忠寛
(1)日本政治史研究の評価軸──敗戦による「失敗した近代」評価と現実とのギャップ
(2)「政党政治」研究の意義と古典的研究との摩擦の回避
(3)「政党政治」研究の限界①──成果の普及と意義の喪失
(4)「政党政治」研究の限界②──「崩壊論」の破綻と残された課題
(5)現在の研究──「崩壊論」の克服と昭和立憲制
(6)今後へのポイント
政治史2 政治史研究の射程の広がり……若月剛史
(1)政治過程論的な政治史研究への批判
(2)組織への着目
(3)国家と社会との関係の再検討
(4)象徴天皇制への関心の高まり
経済史
経済活動のありようを通して社会の変容を捉える……日向祥子
(1)経済史学の基本的な問い
(2)源流かつ深層「潮流」としての唯物史観
(3)明治維新期研究
(4)産業革命期研究
(5)帝国主義史研究
(6)「経済史」研究の射程
農業史 なぜ地主制が重要だったのか……小島庸平
(1)農業史と地主制
(2)日本資本主義論争と地主制
(3)寄生地主制論争と世界史的法則
(4)地主制確立論争──異質なウクラードを結びつける
(5)後退期地主制史研究と農民層分解
(6)地主制と経済発展──まとめにかえて
民衆史・社会史1
「民衆」の歴史叙述──明治期の民衆運動を描く……藤野裕子
(1)戦後歴史学と「民衆」
(2)民衆思想史の出発
(3)社会史との接点
(4)国民国家論との接点
民衆史・社会史2
「いま」を知るための現代史……原山浩介
(1)現代史研究の展開
(2)社会史研究の難しさと醍醐味──用語・概念の問題
(3)消費者=女性という認識
(4)消費者運動/消費社会の変容
(5)消費者問題の混沌
(6)「いま」に立ち戻る
女性史・ジェンダー史
家族・女性運動・性売買を軸として……坂井博美
(1)女性史・ジェンダー史の変転
(2)女性史論争と女性史研究の確立
(3)ジェンダー概念と近代家族論の登場
(4)家族・女性運動・性売買研究の現在
(5)ジェンダー構造の立体的把握へ
都市史1 複数の波が生んだ大きな潮流……松山 恵
(1)研究潮流としての日本近現代都市史
(2)国家主導の近代化(西欧化・工業化)政策に関する研究──第一の波
(3)人びとの生活世界へ──第二の波
(4)前提の変化とあらたなアプローチの模索──1990 年代以降の展開
(5)近年の注目すべき動向──「都市」の拡張,研究体制などについて
都市史2 「都市史の自立」とその展開……中村 元
(1)「都市史の自立」のうねり──1970 年代末から80 年代/第一の波
(2)「都市史の自立」の到達と分岐──1990 年代から2000 年代/第二の波
(3)寄せ返す「都市史の自立」──2010 年代~/第三の波
植民地研究 「植民地性」を探究する学問……竹内祐介
(1)植民地研究という研究潮流はない?
(2)支配に対する反省と植民地研究の再開
(3)地域の通史を描く──植民地近代化論の登場
(4)近代化論批判からの二つの転回──植民地近代論と帝国史研究
(5)植民地性とはなにか──経済史研究からみた植民地研究
日本政治思想史
用法用量を守って正しくお使いください……河野有理
(1)「日本政治思想史」の卒論は書けない?
(2)日本政治思想史は「実証」的ではないか?
(3)日本政治思想史は「理論」的なのか?
(4)丸山眞男を先行研究にするということ
歴史社会学 歴史学から近くて遠い社会科学……野上 元
(1)社会史と歴史社会学,「社会」とは何か?
(2)歴史社会学の歴史
(3)日本の歴史社会学
むすびに 卒論のその先へ
あとがき
執筆者紹介
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ドラマチックガス

9
勉強会(?)で仲間と少しずつ読み進め読了。丁寧な研究法入門書。僕が学生の頃にこういう本があったらなぁ…と思いつつ、きっとあったのに読まなかっただけなのでしょう。前半は一般的な「研究の仕方」資料の集め方等。後半は様々な分野の歴史研究潮流整理。どの分野にもあらわれるマルクス主義歴史学の影響力を今更ながら思い知る。2023/07/26

ぷほは

9
これほど「タメになる」と思わされた入門書もなかなか無かった。資料の集め方などの実践面も素晴らしいが、何より「問題設定」やら「仮説の提示」やら、お科学っぽい肩肘を張らずとも、なんかぬるっと研究が始まっていく歴史研究の面倒さと楽しさが散りばめられている。後半の各領域も大変勉強になった。特に政治・経済史と農業史がこれまでの己が不見識さに加え、改めてマルクス主義の強大さを実感させられた。これらに比して最後の野上先生の歴史社会学はかなり伸び伸び書かれているように見えるが、実は相当な抑制を利かせていることも伺える。2023/01/08

rune

4
大学生のときにこれを読んでいれば……という本。第1部「研究を始めよう」では、卒論を念頭に、日本近・現代史研究の進め方が解説される。とりわけ「1.とりあえずテーマを決める」「3.史料とは何か」は学ぶところ大。第2部「先行研究の見方」は、いくつかの研究潮流がピックアップされ、先行研究が整理される。最新の研究のレビューではなく、過去の研究者が何を問題としてきたのかに焦点を当てている点に特徴がある。多くの章で日本資本主義論争が取り上げられていたのが印象に残った。2023/01/10

takao

1
ふむ2024/09/17

kei

1
How to 研究・卒論本は結構読んでる方だと思うが、多くのHow to、翻訳本が理系やデータサイエンス分野からの経験をもとに書かれているので一部や原則しか参考にならないことが多かった。この本は日本の、歴史系の、というたてつけなのでその点は日本の人文科学で研究をしている人にはとてもうってつけの本なのではないかと思う。文学とかはまた少し違うと思うのですが。2022/11/08

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