岩波新書<br> 西洋書物史への扉

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岩波新書
西洋書物史への扉

  • 著者名:髙宮利行
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2023/03発売)
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  • ISBN:9784004319634

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内容説明

中世の写字生,グーテンベルクをはじめとする印刷術の立役者,あるいは蒐集家,偽作者,伝統を守ろうとした改革者たち…….いつの時代にも,書物を愛し,あたかも書物に愛されて生きているような人々がいた.巻物から冊子へ,音読から朗読へ,書物と人が織りなす世界を楽しみながら,壮大な迷宮を旅する.カラー口絵四ページ.

目次

はじめに
文字メディア、いにしえの形態
二〇〇〇年近く前の文書板
ローマ軍兵士の日常生活
木板、葦ペン、インク
『アエネーイス』からの引用
写本以前
楔形文字を刻んだ訒板
先を尖らせた葦の茎が刻む文字
書写材料と使用言語
最古の書記
Bookの語源をたどる
書籍とは、書物とは
語源
ブナの木の謎
冊子本の登場
情報へのたどり着きやすさ
パピルス
ペンとインク
羊皮紙
パピルスの冊子本、羊皮紙の巻子本
冊子本への転換
聖マルコのノートブック
中世式知的生産の技術
ペチア・システム
デストレの発見
中世の授業風景
音読、朗読そして黙読
声に出して読むべからず
アウグスティヌスの読書
視覚と聴覚
写本室は黙読だったか
単語間のスペース
『家庭版シェイクスピア全集』
「publish」の意味
写字生の仕事場
写字生ジャン・ミエロ
机、書見台、羊皮紙
ペンとペンナイフ
マシュー・パリス
回転式書架のイコノグラフィ
頑丈な製本
写本と写字生
六面回転式書見台
図書目録とヨーロッパの書物の文化
古典の再発見とルネサンスの矛盾
ポッジョ・ブラッチョリーニ
古い書体の復活
ニッコロ・ニッコリとコジモ・デ・メディチ
活版印刷本の出現
情報爆発の時代へ
中世趣味
古典主義とロマン主義
中世の復活
均整美の古典主義建築の後で
中世趣味の製本
ラファエル前派の一枚の絵
ヨーロッパ世紀末の写本偽作者
精巧な偽物
スパニッシュ・フォージャー
シエナの偽作者
再製本と偽物作り
愛書狂時代のファクシミリスト
ペン・ファクシミリスト
史上最高の落札価格
汚れを「洗う」
ファクシミリの復刻
『アーサー王の死』の転写ミス
「全体の書」
大きな本と小さな本
ヴァーノン写本
グーテンベルク「四二行聖書」
グーテンベルク聖書、日本へ
ミニチュア・ブック
ホートンのコレクション
物言わぬ余白の力
「遅れに遅れてやってきたルネサンス的知性」
スタイナーの読書論
ペーパーバックとは
ウィリアム・モリスの教え
第二グーテンベルク革命
HUMIプロジェクト
答えは誰にも分からない
図書館情報学の見地から
〔コラム〕蔵書票が語る本の歴史
おわりに
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

113
印刷会社に勤務経験があるので、木版から活版を経てDTPに至る印刷の歴史はひと通り知っていた。そこに関わった人物はグーテンベルクとモリスが有名だが、他に無名の写字生や学者、収集家から偽作者に至るまで数え切れない有象無象が関わって、書物と印刷にまつわる西洋の知的生産術を形作ってきたのだ。印刷だけでなく紙や鵞ペンにインク、書体に挿絵に造本まで含めて書物という形で欧州の知を結集させられたからこそ、西洋が世界発展の先駆者たり得た事情が見えてくる。紙の本から電子出版への過渡期にある現在は、未来をどのように動かすのか。2023/07/30

コットン

72
西洋における写本以前から写本、印刷時代の始まり迄を扱った本。音読から黙読にとか、写本や書見台などについて多く書かれていて面白い。特に、写本が分かち書き(文章において語の区切りに空白を挟んで記述すること。)をするようになってくるが、それ以前は分かち書きがなかったのが驚きでよく読めたものだな!と思う。2023/05/27

佐島楓

72
パーチメント(羊皮紙)の作り方など、イメージしづらかったものが図版入りで解説されていてよく理解できた。音読から黙読への歴史も興味深く読んだ。わたしは紙の本という媒体が好きなのだと再確認できた。2023/03/19

へくとぱすかる

54
驚いたのはアッシリアの蝋板。てっきりローマ帝国の専売特許だと思っていたが、しっかり楔形文字が書いてある。書物の発達史は、文献の新発見、調査が進むにしたがって、従来の見解を訂正しなければならないケースも増えていく。少なくとも技術の発達によって、書物の形態が一定の方向にだけ変化(発達)していったというイメージは修正する必要があるだろう。印刷が写本にとってかわる過程には、逆方向の変化もあった。ラストには紙の本が電子書籍にとってかわられるかどうか、考察されているが、これは納得できる。レコードも復活したのだから。2023/09/10

tamami

50
初読の感想としては、非常に精緻な部分に記述が及び、「新書の体裁をした専門書」といった印象が強かったが、膨大な遺産を蔵する西洋書物史という観点からすれば、詰め込みすぎとなるのもやむを得ないかも知れない。粘土板や葦ペンに始まり、中世写本の制作と利用のされ方、その偽造の話など、個々のエピソードには大いに興味を惹かれる。また音読から黙読への流れ、そのまた揺り戻しの話など、わが国の読書史のあり方にも関係する事柄だろう。一点、キー概念となる初期印刷機についてはさらに説明が欲しいところ。もっとも著者には『グーテンベルク2023/04/18

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