岩波新書<br> ウクライナ戦争をどう終わらせるか - 「和平調停」の限界と可能性

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岩波新書
ウクライナ戦争をどう終わらせるか - 「和平調停」の限界と可能性

  • 著者名:東大作
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 岩波書店(2023/03発売)
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  • ISBN:9784004319610

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内容説明

ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年.核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法はあるのか.周辺国や大国をはじめとする国際社会,そして日本が果たすべき役割とは何か.隣国での現地調査を踏まえ,ベトナム,アフガニスタン,イラクなど第二次世界大戦後の各地の戦争・内戦を振り返りつつ模索する.

目次

はじめに
第1章 ウクライナ侵攻と,世界大戦の危機
想定される五つのシナリオ
戦争の長期化
動員」と四州の併合
核の恐怖と背中あわせの戦争
迷走する「ロシアの目標」と戦争終結への見通し
第2章 これまでの戦争はどう終わってきたのか――第二次世界大戦後
軍事的勝利か,和平調停か
大国が侵攻した時――軍事介入とベトナム戦争
ベトナム戦争の教訓――戦争終結の難しさ
ソ連によるアフガン侵攻
アメリカのアフガン軍事介入
イラクへの侵攻とその後
侵攻を受けた側の戦略
和平交渉や和平合意の役割
シリアへの軍事介入の「誤った教訓」
第3章 和平調停・仲介の動き
国連への期待と限界
大国や周辺国の力(レバレッジ)
レバレッジを持つ米国と中国
開戦直後の和平交渉とトルコ
近づいた和平合意
ブチャでの民間人殺害
失われた機会?
トルコが仲介に乗り出す理由
国連の限定的調停と穀物輸出合意
ロシア側の事情
将来の和平交渉の土台に
第4章 経済制裁はどこまで効果があるのか
もう一つの政策手段「経済制裁」
頻発する米国の経済制裁
経済制裁の限界
制裁解除の条件の明示を
ロシアに対する制裁解除の条件
どこまでの奪還を目指すか
第5章 戦争終結の課題と,解決への模索
問題提起と反発
二月二四日ラインをめぐる論争
変わり始めた目標
ウクライナの選択と領土問題の解決
戦争終結への難問② ――戦争犯罪
国際刑事裁判所(ICC)の限界
大国の撤退と戦争犯罪
指導者が代わったケース
戦争終結と戦争犯罪の現実的判断――東ティモールの例
南スーダンの場合
平和の確立に向けて
争終結への難問③ ――安全保障の枠組み
賠償問題と戦後復興
戦争終結への均衡点
第6章 日本のウクライナ難民支援――隣国モルドバでの活動
日本の対ロシア制裁とウクライナ支援
隣国モルドバへの難民流入
日本NGOの支援
温かい対応
日本政府・JICAの支援
精神的なダメージと,今後の支援
ウクライナ難民への心の支援
これからの支援に向け
第7章 今,日本は国際社会で何をすべきか――深刻化するグローバルな脅威と日本
グローバル課題にどう立ち向かうか
世界各地で続く,軍事紛争とその対応
地球温暖化や干ばつへの対応
「グローバル課題」解決のファシリテーターとして
クリーン・エネルギー大国を
日本のNGO――中村哲医師の偉業と継承
「中村式灌漑」をアフガン全土へ
「民主主義」対「専制主義」を超えて
「自立と安定」を支援する外交を
日本の背中を示しつつ
おわりに
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

209
昨年5月のキッシンジャーによる「侵攻前ラインでの停戦」案を「幻想の平和」と批判したゼレンスキーだが、彼とその幹部達も6月時点では「2/24ラインまで押し戻して交渉に入る」という方針で一致していた。だが8月の国際会議でゼレンスキーはクリミアを取り戻すと発言し、戦争が泥沼化してしまったことを印象づけた。ウクライナの善戦は嬉しいが、停戦できない事情や心情が双方に固まりつつあるのは恐ろしい。勝利と公正の一方に人々の苦境があるという問題をどう考えればよいのか。本書は過去の戦争終結事例をあげて色々と考えさせてくれる。2023/05/12

skunk_c

73
中公新書『内戦と和平』の著者がウクライナ戦争についての終結ヴィジョンを示そうとした書。本書に明快に書かれているように、昨年3月段階の「開戦時点以前のロシア軍撤退、ウクライナのNATO加盟断念と新安全保障機関設立、クリミア・ミンスク合意地域の継続協議」が最も妥当な線と思うが、その後の戦闘の継続により特にロシア側の戦死者増がそれを難しくしているという。核戦争を避けながらともかく戦争を終わらせるにはという点で、ロシア支持国、ウクライナ支援国ともにいかに妥協するよう説得するかが鍵とみているが妥当と思う。2023/04/05

活字の旅遊人

54
この戦争が終わらない理由の一つに、ウクライナ(西欧米)側の目的・目標が大きくなっていることがあると思っていた。本書ではそれを「二月二十四日ライン」という言葉で明確に示してくれている。そう、どの戦争もそうだけど、どうなれば終わらせるのか、という点を当事者がはっきりと分かっていなければいつまでも終わらない。それは全面降伏となって終わった日本の過去を考えてみても分かる。大国が小国に勝てない現代の戦争についての論考なども分かりやすい。そして戦後補償や戦争責任・犯罪の裁き方。なるほど。さあ、どこまでやる気だ、双方?2023/05/29

壱萬参仟縁

50
図書館。2年前の本とはいえ、まだ、終わるどころか、泥沼化だ。ウクライナ難民の心の傷。①空爆で心の恐怖や傷が極めて深い。②避難生活がいつまでか不安。③士別の恐怖(138頁)。②は、福島第一原発事故、能登半島、昨今の大船渡山火事などの避難者にも言えること。エンドレスな不安を終わらせる。そのために、日本はどのような役割を果たすべきか? トランプ氏が、個人的にウラジミールは好き、という、国家と国家の代表者の人間関係が国家間関係や停戦、終戦に直接、影響しかねない。本書は、今だからこそ、読んでおきたい好著であった。2025/03/08

よっち

40
ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法を模索する一冊。現段階で想定される五つのシナリオと、迷走するロシアの目標と戦争終結への見通し。ベトナム、アフガニスタン、イラク、シリアなど各地の戦争・内戦はどう終わらせたのか。和平調停・仲介の動き、経済制裁の効果、戦争終結に向けた課題などを取り上げる中で、日本の役割についても言及されていましたが、読めば読むほど泥沼に陥りそうで、早期の解決は見えてこないですね…あとは東部とクリミアの扱いもポイントになりそうです。2023/03/30

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