岩波文庫<br> 石垣りん詩集

個数:1
紙書籍版価格
¥880
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波文庫
石垣りん詩集

  • 著者名:伊藤比呂美
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 岩波書店(2023/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003120019

ファイル: /

内容説明

14歳で銀行に事務見習として就職し,定年まで家族の生活を一人で支えつづけた詩人,石垣りん.家と職場,生活と仕事の描写のうちに根源的な雄々しい力を潜ませた詩を書きつづけ,戦後の女性詩をリードした詩人のすべての詩業から,手書き原稿としてのみ遺された未発表詩や単行詩集未収録作品を含む,120篇を精選.

目次

『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』(書肆ユリイカ、一九五九/花神社、一九八八/童話屋、二〇〇〇)
原子童話/雪崩のとき/祖国/挨拶/天馬の族/繭/夜話/よろこびの日に/白いものが/今日もひとりの/私の前にある鍋とお釜と燃える火と/日記より/女湯/手/顔/悲劇/盗難/三十の抄/屋根/犬のいる露地のはずれ/貧乏/家/夫婦/月給袋/風景/用意/私はこの頃/ひめごと/この光あふれる中から/不出来な絵/ぬげた靴/風景/その夜
『表札など』(思潮社、一九六八、二〇〇八/花神社、一九八九/童話屋、二〇〇〇)
シジミ/子供/表札/くらし/夜毎/旅情/海辺/島/えしゃく/崖/健康な漁夫/貧しい町/落語/海のながめ/土地・家屋/鬼の食事/愚息の国/銭湯で/公共/弔詞/唱歌/生えてくる
『略歴』(花神社、一九七九、一九八七/童話屋、二〇〇一)
村/儀式/略歴/行く/定年/遥拝/町/へんなオルゴール/追悼/神楽坂/まこちゃんが死んだ日/ケムリの道/風俗/十三夜/河口
『やさしい言葉』(花神社、一九八四、一九八七/童話屋、二〇〇二)
ことば/木のイメージ/還暦/跳躍/青い鏡/兵士の世代/坂道/洗剤のある風景
『レモンとねずみ』(童話屋、二〇〇八)
レモンとねずみ/すべては欲しいものばかり/年を越える/ゆたんぽ/いじわるの詩/私の日記/夜の詩/墓/声
単行詩集未収録詩篇から
花のことば/いくさの季節/帰郷/下品な詩/黒い影/ふざけた謝罪/落伍/犬/駆けだす/この道/発言/掌上千里/記憶/それから/南極/道のはずれに/ラッシュアワー……だな/汗をかく/捨て科白/嫉妬/きこえない/鳥がなく/夜道/東京の夜/グラウンド/猫がなく/おでんやのいる風景/葉かげ/貝がら/たそがれの光景/夏の朝/言い草/(無題)
解説(伊藤比呂美)
石垣りん自筆年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

127
巻末の自筆の年譜によると石垣りんは14歳から働き始めたそうだ。経済的に苦しい実家を支えるための仕事だった。そして55歳で定年退職するまで働き続けた。この詩人の言葉は文学者の言葉と言うより、ひとりの生活者の言葉だと思う。血と汗と涙が行間から滲んでいる。家族のために結婚すら断念し、働き続けた人の言葉はとてつもなく重い。文学や詩や素晴らしいものだが、それより素晴らしいのは懸命に生きること。生きることの重みや苦しみを読者の心に直接ぶつけてくるこれらの詩を読むと、しんどい人生に正面から向き合う力と勇気をもらえる。2015/11/22

ちゃちゃ

105
終戦の日を迎えると思い出す詩がある。「戦争の終わり/サイパン島の崖の上から/次々と身を投げた女たち。/美徳やら体裁やら/何やら。/火だの男だのに追いつめられて。/(略)それがねえ/まだ一人も海にとどかないのだ。/十五年もたつというのに/どうしたんだろう。/あの、/女。」(『崖』)まるでモノクロ写真を見ているように直截的なリアリティで女の戦争を切り取る。宙に浮いたままどこにも届かない女たちの想い。せめて私たちは、その想いを受け継いで、鎮魂の祈りを捧げたい。脳裏に焼き付いた石垣りんの鋭い言葉の記憶として。2018/08/15

佐島楓

71
読み終えてへとへとになる。それほどことばひとつひとつにパワーがある。社会に対する怒りの詩、自分の人生のままならなさを嘆く詩。いずれもからだの内側から揺さぶられるようなつよさを持っている。詩を書き続けるということは、人生を綴ることとイコールであり、生半可な覚悟ではできないと知った。2019/01/15

くさてる

32
有名な詩人だけに、いくつかの作品は知っていたけれど、まとめて読んだのは初めて。なんとなく、生活に根ざした女性目線の詩が多いのかなと思っていたけれど、政治的な意味が濃いものや(「よろこびの日」の言葉が持つイメージと力よ!)性差を越えた生活者としての詩もあって、やっぱりまとめて読まないと分からないものだなあと思ったり。そして、伊藤比呂美の解説が、この詩人を理解するために役立ち、分かりやすく、でも比呂美さんの文章で、ほんとうに良かったです。2021/03/20

fwhd8325

31
梯久美子さんが、石垣りんさんを取材しているという記事を見て、作品を読んでみたくなりました。率直に、この烈しさに圧倒されました。しばし、手を止め、そこにある文章を咀嚼するように、作品を読みました。そこには、文学としての詩、人生としての詩がありました。作品が発表されてから、長い年月が経っているのですが、少しも変わって異な社会の闇がそこにあるようにも感じます。2017/10/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9962079
  • ご注意事項