老父よ、帰れ

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老父よ、帰れ

  • 著者名:久坂部羊【著者】
  • 価格 ¥850(本体¥773)
  • 朝日新聞出版(2023/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784022650900

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内容説明

認知症の父親を施設から自宅マンションに引きとると決めた矢部好太郎。家族の協力を得て自宅介護を始めるも、食事に排泄の介助とままならぬことばかり。隣人からは過度に問題視され……。高齢者医療を知る医師でもある著者が介護をめぐる家族の悲喜劇を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のんちゃん

27
認知症専門医の講演に感銘を受け、好太郎は認知症の父を介護施設から自宅に帰し介護を始める。もう一度父に自分の名前を呼んでもらいたいと願って。だが自宅介護は一筋縄では行かず、近隣の無理解、疲労、そして症状の全く変わらない父に好太郎は疲弊していく。今回、私がこの作品から学んだ事は介護者が自分の希望を被介護者の希望と同一視してはいけないという教えだった。重病に侵された時、被介護者の苦痛を考えれば、死の恐怖もない認知症患者にとって苦しい治療は不要ではないかという事。介護者の気持ちを優先しない介護、難しい問題だ。2023/09/23

megu

23
認知症の父を施設から引き取り、自宅介護に奮闘する主人公、好太郎。著者自身、在宅訪問診療に従事する医師であるだけに、誰しもに訪れる、老・病・死の露骨な現実を突き付けつつ、我々に問題提起する。認知症介護に、症状が良くなることや、これ以上進行しないことを期待してはいけない。欲望も執着も捨て、ただ生きてくれているだけでいいと願う、もしも自分が介護する立場であれば、果たしてできるのであろうか。しんみり、涙がこぼれたと思えば、一転、コミカルなラスト。とてもよかった。2023/04/17

seba

22
現在45歳の好太郎は、前頭側頭型認知症を患う父を施設から引き取り、自宅で介護する決心をした。彼はどうも影響を受けやすく、受け売りを笠に周囲にも勢いで理解を迫るような浅薄さがあるが、右往左往しながらも初心を捨てず、自分の手での介護を貫く姿勢は人並みではない。但しストッパーやアドバイザーである家族の存在は大きいが。期待をしたり、介護する側の都合を押し付けたりするのは互いの為にならないとはいうものの、家族であるからこそ完全に割り切ることは難しいのだろう。認知症に関する小説をまとめて読んでみる個人企画の第1冊目。2025/01/09

ロボット刑事K

18
私は幸いにも、「介護」を経験したことはありません。父は既に亡くなり、母は八十を越えましたが、元気に一人暮らしをしています。介護を経験したことはありませんが、介護がもたらした悲惨な現場は何度が目にしたことがあります。そして思ったのは、自分勝手な考え方かも知れませんが、介護が必要な老人は施設でプロの手に委ねた方がお互いに幸せではないかということです。もちろんご自宅で介護なさってる方には敬意を表しますが。☆4つ。作中の長男が単細胞で頼りないと思われるかもしれませんが、よくやってるよ、と私は誉めてやりたいです。2025/08/13

ベローチェのひととき

18
妻から廻ってきた本。主人公の好太郎は施設に入っていた認知症の父 茂一を自宅に引き取り、自分で面倒を見ることを決意する。介護の悲喜こもごもが全編を通して描かれている。マンションの隣人には色々な考えの人がいたが、それぞれの都合があるのでやむを得ないと思う。個人的な意見としては、施設に入れたままで介護のプロに任せた方が本人にとっても介護する家族にとっても一番いいと思う。2023/10/29

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