ちくま新書<br> 東北史講義【古代・中世篇】

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ちくま新書
東北史講義【古代・中世篇】

  • 著者名:東北大学日本史研究室【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075215

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内容説明

東北史を三つの視点から読み解く。一つめは、近畿地方を中心に国家が形成されると、やがて国家的な境界が東北地方に形成されたこと。二つめは、境界領域としての東北地方で、人や物、言語、習俗、信仰などの交流が活発に行われたこと。三つめは、これまで一言で東北地方といってきた、その内側に多様性に富む地域が形成されていたということである。東北史を考えることは、現代日本の構造を明確化させることでもあり、逆に地域の主体性や独自性を示すことに他ならない。

目次

はじめに/第1講 東アジアの中のエミシ……相澤 秀太郎/斉明天皇五年の遣唐使とエミシ/「蝦夷」表記の創出/宝亀十年唐使の入朝と蝦夷/「蝦夷」表記の消滅とその背景/唐・日本とエミシ/第2講 国造制から国郡制へ──陸奥・出羽国の成立……吉田 歓/陸奥国・出羽国の成立/東北地方の国造/石城国・石背国の分国/改新後の日本海側/七世紀後半の置賜郡/出羽国の誕生/陸奥国と出羽国/第3講 城柵と戦争・交流の時代……鈴木 郎/養老四年・神亀元年のエミシの反乱/大崎平野と移民(七世紀後半)/丹取郡の新置と大規模植民政策/養老六年格と「柵」の時代/出羽柵北進と直路開削計画/藤原仲麻呂政権期以降の東北政策/三十八年戦争/第4講 城柵支配の変容と社会……大堀秀人/北辺の城柵の一齣から/延暦末年の城柵造営/エミシ政策の転換/奥郡の騒乱/元慶の乱/城柵に組織されるエミシ/移動するモノ・ヒト・文化/第5講 古代から中世への変革と戦乱……永田英明/平安時代東北史へのアプローチ/奥羽の受領と貢納制/奥羽の受領と国内支配/奥羽の「兵」と受領/エミシ支配の変容と鎮守府・秋田城/安倍氏と清原氏/安倍氏の権力と公的地位/「兵」として/発掘調査から見えてきた北奥社会の変動/防御性集落をどう見るか/第6講 平泉の世紀……渡邉 俊/金色堂が語る女性の力/清衡母の再嫁/清衡を支える女性たちと平泉への進出/清衡正妻の活躍/二代基衡の妻/女人沙汰/国守の娘との婚姻/三代秀衡の権勢/秀衡の遺言/平泉藤原氏の滅亡と秀衡後家のゆくえ/第7講 関東武士の下で……黒瀬にな/〈平時〉の到来/大河兼任の蜂起/鎌倉幕府の地方支配方式──奥羽におけるひとつの偶然とその結果/在来勢力の命運──没落する者、生き延びる者/北条氏支配の進展と奥羽現地の変化/鎌倉幕府と在来武士との回路の一例──陸奥介氏とその周辺/幕府を支え、揺るがす奥羽/第8講 奥羽と京・鎌倉──国人一揆を中心に……泉田邦彦/一四・一五世紀奥羽の世界/陸奥国人の一揆契状/一四世紀奥羽の戦乱と一揆/奥羽の鎌倉府移管と国人一揆/京・鎌倉の対立と争乱/室町期から戦国期へ──「郡」の再編/第9講 戦国期南奥羽の領主たち……黒田風花/南奥羽の領域権力/家臣団構造/離合集散──南奥羽の和戦/移行期における領主権力の変容/第10講 北奥羽の戦国世界……熊谷隆次/戦国時代の領域権力と「平和」/戦国期の領主配置の確定/南部氏の「一家」と「戸」の領主/斯波御所と和賀・稗貫・遠野/北羽の下国安藤氏・湊安藤氏/小野寺氏と由利十二頭/「仙北干戈」と仙北の領主/北奥羽戦国最後の戦争/北奥羽の戦国世界と「郡主」/第11講 〔特論〕北と南の辺境史……鈴木拓也/蝦夷・隼人の成立/蝦夷・隼人と征討/蝦夷・隼人と城柵/蝦夷の朝貢と服属儀礼/畿内隼人と朝貢隼人・今来隼人/隼人と元日朝賀/律令国家転換期の蝦夷と隼人/第12講 〔特論〕災害と社会の歩み……吉野 武/災害の記憶と記録/九世紀における大地震と津波/発生時における人々の動向と被害/被災への対応/復興と社会の変化/地震災害後の国府の様相/九世紀における災害と社会の歩み/第13講 〔特論〕奥羽と夷狄島……片岡耕平/津軽海峡の二つの貌/〈海〉から〈川〉へ/再び〈海〉/第14講 〔特論〕奥羽の荘園と公領……白根陽子/奥羽の荘園と公領の概要/奥羽の荘園形成の特徴/奥羽の摂関家領荘園/奥羽の摂関家領荘園の形成を見直す/冷泉宮領陸奥国蜷河荘/一条北政所領出羽国成島荘/奥羽の荘園研究の新たな段階へ/第15講 〔特論〕伝承と物語……永井隆之/中世の世界観/安藤氏の系譜──『秋田家系図』と『下国伊駒安陪姓之家譜』の概要/祖先として登場する朝敵の性格①──安日王/祖先として登場する朝敵の性格②──第六天魔王/祖先として登場する朝敵の性格③──安倍貞任/朝敵を祖先とする意図/朝敵としての負のイメージを回避する理屈①──魔王百王説/朝敵としての負のイメージを回避する理屈②──怨霊説/「神国」の領主として/コラム1伊達家重臣遠藤家文書・中島家文書について……小佐野 浅子/コラム2「貞観地震」「享徳地震」にみる地震対応の時代性……松岡祐也/さらに詳しく知るためのブックガイド/編・執筆者一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てん06

18
目次にはたいそう魅力的なテーマが並んでいるのに、あまりに時間をかけすぎてしまって自分の中に残っていない。猛省である。しかし目次を見ていると少しずつ思い出すこともあって「東アジアの中のエミシ」「平泉の世紀」などは面白かった。猛省するものの、次の近世・近現代編へ進む。また戻ってこよう。2025/02/06

kenitirokikuti

9
「第15講 特論 伝承と物語(永井隆之)」津軽の十三湊の安藤氏の家伝について。織田信長は第六天魔王と称した、とルイス・フロイスが伝えており、現代では伝奇的な物語に利用されているが、これは中世の神仏習合した神話ベースのお話であり、湊安藤氏にも長髄彦・第六天魔王・安倍貞任の裔としている。第六天魔王はイザナギであり、天照が大日如来、という感じ。朝敵ってもんを高貴な反逆者といったロマン主義解釈してはいけない。

7
大学の課題で使用2025/01/26

qwer0987

7
東北の歴史を各時代ごとに叙述していて勉強になる。雑多な感も受けなくはないが、どの内容も興味深い。個人的に最も目を引いたのは遠藤家文書のコラム。貴重資料の発見に研究者たちが興奮していた様が伝わってくる。他、蝦夷の服属には唐を意識した日本型小中華思想がうかがえること、移民でエミシを服属させていたが予算の関係で在地官人に採用する方針に切り替えたこと、奥州藤原氏が婚姻などで奥州王安倍氏の遺産を受け継いで正当性を訴えたこと、戦国期の奥羽は北と南で別様相だったこと、北奥羽の戦国史の展開などが印象に残った。2023/05/26

(k・o・n)b

6
古代の章を摘み読み(中世の章も読んでみたが土地関係の話がどうも苦手でさっぱり…)。民族・国家の境界で、交流の場でもあった古代東北。まだまだ分からないことだらけなのだろうが、面白い分野だと思った。やはりエミシという存在にとても興味を惹かれる。中国との関係を背景に、小中華意識のもと夷狄と位置付けられた辺境の人々。隼人とは似て非なる要素も多く、後世のアイヌと同じとも言えない。安倍氏・清原氏の支配権はかつてエミシ=俘囚由来との説も唱えられたが、今は中央の権力由来とする説も優勢らしい。中央政権とは何度も戦火を→2024/08/20

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