内容説明
小説からノンフィクションまで、自作も含め国内外のさまざまな作品を取りあげ、執筆のいきさつや作品の背景を考察することによって、読書の楽しみをもう一歩深める実践的な術を伝える。取りあげられた作品は、『ネバーホーム』『やんごとなき読者』『エリザベスの友達』『チェルノブイリ原発事故』『唱歌の社会史』『おーいでてこーい』『いつか深い穴に落ちるまで』『長崎の鐘』など多数。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
24
村田さんが50人ほどの聴衆を募って福岡で始めた「本よみ講座」をまとめたもの。選ばれた本が多岐に渡っていて独特でいかにも作家らしいというか村田さんの創作の後ろにあるものが垣間見られる内容だった。読みたい本が増えるというよりは村田作品への理解の助けになるというか。戦争、原発、グリム童話、飛ぶことについて等。特に原子爆弾の被害に遭った放射線科の部長である永井隆の「長崎の鐘」の章には驚かされた。村田さんの戦争をより内側から描くリアルさはこういう読書から来ているのかと思った。2025/09/06
ふくとみん
11
図書館で借りた。はじめて村田喜代子の本を読んだ。チェルノブイリ原発事故や長崎の鐘など普通忘れ去られていることに焦点をあてる。それだけ視野が広いのだろう。2024/06/12
ムーミン2号
11
もう少し、突っ込んだ「本よみ」を期待していたのだが、そこまで深掘りはしていない。「本よみ」の講座なので、粗筋の紹介や著者が気に入った文章、あるいは重要と思われる場面の紹介に、時々著者の感想が入り混じる。チェルノブイリの原発事故を扱った本、長崎の原爆を扱った本などは読んでみたいと思った。2023/07/20
amanon
9
取り上げられている本の殆どが未読。にもかかわらず(いや、むしろだからこそというべきか)、著者独特の優しい語り口と独特の視線と切り口に引き込まれ、ほぼ一挙読み。とりわけびっくりさせられたのが「手なし娘」の話。こんな残酷な話が世界的に広まっていたとは。それと関連するけれど、昔話には時に残酷で理不尽で救いのないものが多いという事実を改めて認識。その「手なし娘」を現代風にアレンジした「手なし娘協会」はなんとも秀逸。後、『唱歌の社会史』の内容も非常に興味深い。特に「蛍の光」の歌詞の変遷は多くの人が知るべき事実。2023/10/19
ゆまたろ
5
一言で言うと、面白かった!村田さん独特の視点で、本の紹介をする一冊。特に唱歌の話にびっくりしました。「長崎の鐘」「エリザベスの友達」読んでみたいです。2023/08/20
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