内容説明
「普通の夫婦」っていったい何!? 社労士事務所を経営している岩瀬麻衣子は、結婚するときに仕事を辞めると申し出てくれた夫の耀太に育児を任せ、大黒柱として家計を担い、日々の仕事に邁進していた。しかし世間の不理解、お互いの仕事と家事への不満、さらに忙しさですれ違う生活のなか、ある決定的な出来事が起こり、とうとう二人は離婚することに。だが、麻衣子にはこれまで任せっきりだった育児、耀太には再就職という高い壁が立ちはだかっていて……。世間の価値観とのギャップに振り回される夫婦生活のゆくえは!? 人気シリーズ「居酒屋ぜんや」の著者が描く、新しい家族の形を捉えた、感動の長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
102
結局の所夫婦の役割が交代してもお互いの不満は一緒、バリバリ働く妻と専業主夫の夫、お互いの得意分野を担ってうちはうちと上手くやっているはずだったのに、周りの偏見や仕事を認められない事に苛立ちを募らす夫と仕事の忙しさから世間の夫のように自分が一生懸命働いて稼いでいるのに家で遊んでいると夫を軽く扱い出す、自分たちは男女に拘らず進んでいる夫婦と思っていても小さい頃から刷り込まれた価値観は潜んでいる、余裕を作り本音で話し合うしか解決しない、やって貰っている事を当たり前だと思わず感謝する事が大事。2023/04/13
ゆみねこ
97
社労士事務所を経営する麻衣子と専業主夫の耀太。二人で納得して生活スタイルを決めたはずなのに、世間の目や互いの仕事と家事への不満、子育ての大変さでどんどんすれ違う毎日。とある事件をきっかけに二人の仲は決裂するが、麻衣子も耀太もそれぞれに高い壁にぶち当たる。この一家はどうなるのかと頁を捲る手を止められず一気読み!ジェンダーギャップとこれからの家族のあり方を問いかける良作。お薦め!2023/05/12
J D
78
一言で言えばジェンダーレスのお話。表紙絵に違和感を抱くかどうかをいきなり作者から問われているようなでもあるが、これはこれでありだなと思う。家族は、それぞれの生きやすい形に合わせればそれで良いと思う。他と比べると行きづらくなるのかな。麻衣子が萌香の靴にまでこだわるのはどうかなと思った。ICレコーダーや離婚などあり小説として純粋に楽しめた!2023/06/11
ででんでん
78
夫が専業主夫で家事育児を一手に引き受け、妻が社労士事務所を経営して家族の収入面を一手に引き受ける。現代の日本でも普通に見られる家族のカタチをくるっとひっくり返した、ある家族。ひっくり返してあることで読者が無意識に?感じてしまう違和感というアクセントによって、夫と妻それぞれのしんどさが、より一層くっきりと浮き上がる。その手法がうまく効いていて、ぐいぐい引き込まれた。性別というよりも、役割によって、考え方や生活の仕方がじわじわと固定されていくということがよくわかる。ふたりがうまくいくことを希望して本を閉じた。2023/04/17
kotetsupatapata
73
星★★★★☆ 小気味良いテンポで2日ほどで読了。 小生には生憎子供がいないので、軽々しく“大変だな~”とか、“もっと話し合えばいいのに”等という感想は述べられません。 麻衣子が途中で気が付いたように、子育てや家事 仕事に追われ、どうしても視野が狭窄して相手を思いやることが出来ない事は誰にでも起こりうる事でしょう。 耀太や麻衣子の事は決して物語の中の他人事と思わず、もし自分だったらどうするのか?を問われたように思えます。 それでもラスト元の有り様に戻れてホッとしました。2023/04/18