内容説明
海には、人智を越えた、「何か」がいる。
海釣り師たちが、実際に遭遇・体験した「海」にまつわる不思議な話を取材してまとめた現代民話集。
内陸は山地の占める面積が広い郷国だが、いっぽうで、周囲を海にかこまれた海の国でもあり、そこには正体のわからない「何か」が、潜んでいる。
長年、海釣りに関わってきた著者が収拾した海の奇談51話を収載。
鮮烈な印象を残すカバー装画は、異端の画家・多賀新氏の銅版画作品魚シリーズNo.12「 溂」。
目次
はじめに
第1章 そこにいたなにか
添えられた手/銀色の光とスパイクの音/夜釣りをしたのは/背中を押すな/4人目の男/「エサをくれよ」/石積み突堤の老人/消えた乗船客/犬が吠える/下北半島/浴衣姿の幽霊女/不運な日
第2章 水のなかから
スクリューに絡んだもの/海から来る女/海草のなかの顔/水門/テトラポッドの奥/足首に残った痣/足を払ったのは/悪意/舟幽霊/巨大な白い影/脱北船/深夜の大物
第3章 人智を超えたもの
二度生かされた男/絶壁の明かり/憑依/天女の助け/タヌキの導き/たどり着かない雑貨店/神が集う島で/忙しない人魂/UFO出現の特異日/調査船が遭遇したもの/妖精/イサダ/毛嵐/韓国の人魚/ルームミラーに映った男
第4章 特別な場
千人塚/間引きの島/呼ばれた理由/寄ってくる卒塔婆/はしゃぎ声/引き寄せられる岩棚/潜伏キリシタンの島/招かれざる客/御前落とし/海難法師/南洋の記憶/日本海中部地震で起きたこと
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
96
全国の釣り場を巡り写真や釣行記を仕事としている著者が体験したり、地元の人に聞いたりした海の怪話をまとめた本。 海は広い。人間がわかっていることなど微々たるものだと思っている。これは山にも言えることだが。よく聞く話がほとんどだったのであんまり期待したほどでもなかった。私は書かれているような怪異現象よりも、足場が悪い場所特にテトラポッㇳが怖い。若い時足を滑らせて危うく海に落ちそうになったり、素潜り中にクラゲに刺され激痛で溺れそうになったこと。図書館本2024/11/07
HANA
59
実話怪談集。古来海は山と共に異界に親しい存在であり、板子一枚下は地獄という言葉があるように死とも近い存在と考えられていた。本書は海釣りを専門とする著者が自身体験した事や釣り人漁師から聞いた話をまとめた一冊。一話一話は怖いというより奇妙な気配を感じるようなかそけさという語がぴったりな話が多いのだが、それでもそういう話が続いていくと、夜の真っ暗な海で寄せては返す波の音を聞いているような不安な感覚に襲われる。それでもそれは怖いというよりどこか懐かしいような。磯の香りが漂ってくるような一冊、面白かったです。2024/04/19
HaruNuevo
17
『山怪』シリーズ(文庫)、『山の霊異記』シリーズを一通り読んだので、次は海だな、と思い拝読。 かなり『山怪』シリーズは意識して執筆されているように感じた。 山は山そのものが異形の棲まう異界であり、山そのものに霊性が宿るという古来の信仰もあるが、海は竜宮城やニライカナイのように異界へと続く、いや異界とこちらを隔てるものであるというところで、そこで語られる怪異譚も少し性格を異にしているように感じた。 ぜひこちらもシリーズ化して欲しい。2023/09/03
LUNE MER
16
釣り人の体験談を集めた「山怪」の海バージョン。自分は釣りをしないのでかなり他人事の感覚で読んだために「山怪」シリーズほどには背筋に寒気を感じなかった。海釣りによく行く人が読んだら結構怖いんじゃないかと。2024/10/11
アカツキ
14
著者が自身の体験、猟師や船長、サーファーなどから聞いた海にまつわる話をまとめた怪奇譚と、日本海中部地震の津波被害についての話。現実的な見解も書かれているが、それでも首をかしげるような、ゾッとするような後味を残す話がいくつもある。津波被害はたまたま遠足に来ていた子供たちが被害に遭ったものの地元の人たちの救助によって多くの子が救われる。それでも救いきれず流されていった子供への心残りを語る女性の言葉に胸が締めつけられた。2023/11/12
-
- 電子書籍
- スキル『植樹』を使って追放先でのんびり…
-
- 電子書籍
- ラブコメ漫画に入ってしまったので、推し…
-
- 電子書籍
- 1分ヘア革命 読むだけで髪の悩みが消え…
-
- 電子書籍
- Apache Kafka 分散メッセー…