内容説明
小説講師として才能のない生徒の面倒を見る作家ジェイコブ。中でも反抗的な生徒エヴァンの存在は、いまの彼の立場をより惨めなものにさせていた。ある日、エヴァンが死んでしまう。彼が遺したプロットは普段の彼からは考えられないほど完璧だった。そして……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
66
主人公は小説家、いわゆる一発屋で現在はおちめ。生活の為の講座講師は全くヤル気がない。「いやー、作家業は大変だな、でもこんな講師にお金は払いたくないなー」こちらもあまり気乗りせずに読み始めた。プロットを盗用した作品が大当たりするが脅迫が届く。犯人は早々にわかったが、途中に挟まれる作中作品『クリブ』、少しずつ積み上がる真相へのヒント、そして後半は偏執的に脅迫犯人を探そうとする主人公から明かされる過去。どんどんと面白くなっていき、気がついたら読み終わっていた。ほどよいページ数も良かった。2023/04/09
ヘラジカ
51
「剽窃からの成功、そして謎の脅迫を受ける」というそれ自体が平凡に見えるプロットが、読み進むにつれて驚きのスリラーへと変貌していく。ミステリー小説としては割合に月並みなラストにも、人物設計と動因が練られているのでそこまでのチープさは感じない。爽快ですらあった。ガツンと来る社会的なミステリーではないが高い文章力で一気に読ませる快作。邦訳に当たりタイトルが変わったのは仕方ないとは言え、原題の”プロット”が持つ意味も小説の重要なファクターなので改変は少し残念ではある。2023/03/08
星落秋風五丈原
40
邦題がもろネタバレしている通りジェイコブはエヴァンのプロットをそのまま頂いて小説を書き、ベストセラー作家に返り咲く。そこで終わればめでたしめでたしだが、ミステリが入る余地がない。というわけで、お馴染みジェイコブは謎の相手から脅迫される。例えば全く同じ内容を、字体を変えて書くならば、100%盗用と言える。プロットはいわばアイデアであり、同じアイデアでも文体が変わればイメージは全然変わるのでは?それこそ映画でも似たようなストーリーは山ほどあるので、盗用なのか単に似てしまったのかは証明が難しい。2023/05/10
本木英朗
28
アメリカの現代ミステリ作家のひとりである、ジーン・ハンフ・コレリッツの長編のひとつである。かつてのベストセラー作家ジェイコブは、どうしても新作を書けずにいた。小説創作講座で教えるだけの日々に鬱々とし、受講生のエヴァンに怒りと嫉妬の炎を燃やしていた。その三年後、ふとしたことからジェイコブはエヴァンが死んだことを知る――という話から始まる。真犯人が誰かってところは、たぶん俺でも分かっていたが、それでも最後まで読めるサスペンスだったね! さすがは作者であります。大満足でした!2023/07/24
本の蟲
19
処女作で一発売れたが、その後鳴かず飛ばずの作家ジェイコブ。大学の小説創作講座で、いけ好かない受講生に聞いた素晴らしい小説プロットが、その後書かれることなく受講生も死亡したことを知る。ジェイコブはそのプロットを盗用してベストセラー作家となるが、謎の脅迫メールが届き…。肝心のプロットの中身は「誰が書いてもベストセラー間違いなし」というには無理があるし、犯人の予想もついていた。ただ結末と、犯人が自身の犯行計画を「どう思う? 私のプロット」と皮肉っているのは気に入った2023/04/20