内容説明
絵画のもつ意味、それを“解釈”するにはどうしたらよいか──。その基礎的方法論のひとつとして挙げられるのが図像解釈学(イコノロジー)である。本書は、カラヴァッジョ『果物篭』、ボッティチェッリ『春』、ブロンズィーノ『愛のアレゴリー』、ブリューゲル『バベルの塔』等、重要な名画12作品を取り上げ、関連作品と比較しつつ、その背後にある思想や意味世界への接近を試みる。イメージの読み解きによって、美術の深みと無限の感受性への扉を開ける、美術史入門書の決定版。
目次
まえがき イコノロジー(図像解釈学)とはなにか/I カラヴァッジョ『果物籠』~快楽のはかなさ~/美術の二つの流れ──自然模倣と観念表現/カラヴァッジョの『果物籠』の意味/近代の静物画の発展/II ティツィアーノ『聖なる愛と俗なる愛』~愛の二面性~/花の絵/二人のヴィーナス/聖と俗の調和/III ボッティチェッリ『春』~愛の弁証法~/二人のヴィーナスの主題/愛の弁証法/盲目のクピド/IV ニコラ・プサン『われアルカディアにもあり』~死を記憶せよ~/墓石の銘文「ET IN ARCADIA EGO」/メメント・モリ(死を記憶せよ)/ニコラ・プサンによる二つの『アルカディア』/V ミケランジェロ『ドーニ家の聖家族』~父と母と子~/一定の主題形式のなかに示される差異/聖家族の主題/ドーニ家のための聖家族/聖母の純潔をめぐる二つの説/背景の裸体像について/VI フラ・アンジェリコ『受胎告知』~神と人の出会い~/天使とマリアの出会い/図像学的な問題/宗教画の役割/その後の「受胎告知」/「受胎告知」から「無原罪のお宿り」へ/VII レンブラント『ペテロの否認』~人間の弱さ~/ペテロという人/「ペテロの否認」図像の変遷/レンブラントの二つの作品/VIII ブロンズィーノ『愛のアレゴリー』~愛の虚妄~/一六世紀における趣味の変化──マニエリスムという時代/寓意を解く/愛の虚妄/IX ジョルジョーネ『テンペスタ(嵐)』~男性原理と女性原理~/謎につつまれた主題/『テンペスタ』のディスクリプション/「バッコスの誕生」説/消えた女/アダムとエヴァ/寓意的解釈/秘教的解釈/さまざまな解釈/X デューラー『メレンコリアI』~自然哲学と芸術の結合~/複雑な画面/宇宙論と憂鬱質/憂鬱の逆転/オカルト哲学とデューラー/細部の解釈/XI バルドゥング・グリーン『女の三世代』~老いについて~/鏡を見る女/女と死/時間の経過──老い/XII ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』~文明への警告~/旧約聖書に記されたバベルの塔/ブリューゲルの同時代的意味/細部の世界/永遠の空/あとがき/美術史略年表/図版リスト一覧/参考文献/文庫版解説 美術という無限の深みへ 宮下規久朗
感想・レビュー
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mahiro
ラウリスタ~
篠崎
takakomama
kana0202