ちくま学芸文庫<br> 絵画を読む ──イコノロジー入門

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ちくま学芸文庫
絵画を読む ──イコノロジー入門

  • 著者名:若桑みどり【著者】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 筑摩書房(2023/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480511492

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内容説明

絵画のもつ意味、それを“解釈”するにはどうしたらよいか──。その基礎的方法論のひとつとして挙げられるのが図像解釈学(イコノロジー)である。本書は、カラヴァッジョ『果物篭』、ボッティチェッリ『春』、ブロンズィーノ『愛のアレゴリー』、ブリューゲル『バベルの塔』等、重要な名画12作品を取り上げ、関連作品と比較しつつ、その背後にある思想や意味世界への接近を試みる。イメージの読み解きによって、美術の深みと無限の感受性への扉を開ける、美術史入門書の決定版。

目次

まえがき イコノロジー(図像解釈学)とはなにか/I カラヴァッジョ『果物籠』~快楽のはかなさ~/美術の二つの流れ──自然模倣と観念表現/カラヴァッジョの『果物籠』の意味/近代の静物画の発展/II ティツィアーノ『聖なる愛と俗なる愛』~愛の二面性~/花の絵/二人のヴィーナス/聖と俗の調和/III ボッティチェッリ『春』~愛の弁証法~/二人のヴィーナスの主題/愛の弁証法/盲目のクピド/IV ニコラ・プサン『われアルカディアにもあり』~死を記憶せよ~/墓石の銘文「ET IN ARCADIA EGO」/メメント・モリ(死を記憶せよ)/ニコラ・プサンによる二つの『アルカディア』/V ミケランジェロ『ドーニ家の聖家族』~父と母と子~/一定の主題形式のなかに示される差異/聖家族の主題/ドーニ家のための聖家族/聖母の純潔をめぐる二つの説/背景の裸体像について/VI フラ・アンジェリコ『受胎告知』~神と人の出会い~/天使とマリアの出会い/図像学的な問題/宗教画の役割/その後の「受胎告知」/「受胎告知」から「無原罪のお宿り」へ/VII レンブラント『ペテロの否認』~人間の弱さ~/ペテロという人/「ペテロの否認」図像の変遷/レンブラントの二つの作品/VIII ブロンズィーノ『愛のアレゴリー』~愛の虚妄~/一六世紀における趣味の変化──マニエリスムという時代/寓意を解く/愛の虚妄/IX ジョルジョーネ『テンペスタ(嵐)』~男性原理と女性原理~/謎につつまれた主題/『テンペスタ』のディスクリプション/「バッコスの誕生」説/消えた女/アダムとエヴァ/寓意的解釈/秘教的解釈/さまざまな解釈/X デューラー『メレンコリアI』~自然哲学と芸術の結合~/複雑な画面/宇宙論と憂鬱質/憂鬱の逆転/オカルト哲学とデューラー/細部の解釈/XI バルドゥング・グリーン『女の三世代』~老いについて~/鏡を見る女/女と死/時間の経過──老い/XII ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』~文明への警告~/旧約聖書に記されたバベルの塔/ブリューゲルの同時代的意味/細部の世界/永遠の空/あとがき/美術史略年表/図版リスト一覧/参考文献/文庫版解説 美術という無限の深みへ 宮下規久朗

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mahiro

20
絵画の中に含まれる宗教的、歴史的、政治的暗喩について、カラヴァッジョやブリューゲル等有名な名画を取り上げ解説。予備知識無しに絵画を観て、なぜ美しい果物や花に虫食や萎びた物が混じっているか、美女の後ろに描かれている変な人達は?という疑問は解決するだろう、西洋絵画は様々な暗喩なしに描かれたものはほぼなかった。ヴァザーリの『無原罪の御宿り』のマリアが踏みつけている蛇が悪魔の象徴であると共に新教徒ルターをさしていると言うように。この本を読んで西洋絵画を鑑賞に行くと楽しめるが1つの絵画の前の滞在時間が長くなるかも?2023/06/05

ラウリスタ~

10
宮下氏の解説が助かる。93年のイコノロジー全盛期に書かれた絵解き入門で、その後それを人文主義的な過度な深読みだと批判するニューアートヒストリーという傾向が出てきたと。ただ絵を読み解く喜びを大学一年生に教える教科書としての価値は今でも揺るがない。ギリシャ神話やキリスト教に基づく物語だと、絵解きとして納得するが、新プラトン主義的あるいはオカルト的な意味が隠されているとなると、同じ絵にも数十の読みの可能性が提示され、差異化のための差異化に陥りそうな気配も。X線や修復で下書きが判明し解釈が修正などは刺激的な発見。2022/12/31

篠崎

5
西洋画の知識が欲しいなと思っていたので手に取った。絵画を読む──図像解釈学(イコノロジー)。大きな価値と評価され、現在でも多くの人に関心を持たれる絵画たちは、芸術家にしか表現できない言葉を持っているのだと改めて気付かされた。感性だけで絵画を楽しむ良さも分かるけれど、その背景を知ったからこそ得られる楽しさもある。宇宙の仕組みを知らなくとも太陽や星は美しいが、太陽の熱さ宇宙の果てしなさを知った後に見る夕焼けは変化する。「事実についての知識は、感受性を深めこそすれ決してそれを抹殺しない」、忘れないようにしたい。2023/02/02

takakomama

3
12枚の名画の主題を詳しく解説。イコノロジーは図像解釈学。同じ絵画なのに、人によって解釈が全く違います。本当のところはどうだったのでしょう。歴史や社会背景、宗教や文化などの知識があれば、絵画をもっと楽しめると思います。2024/02/11

kana0202

3
若桑みどり、初めて読んだがとても良かった。副題にあるようにイコノロジー入門ということで、日本人に欠けているキリスト教の寓意の知識を学ぶことができる。そもそも文章が読みやすく、淡麗で美術を書くことにも参考になりそう。知識自体はすぐに忘れてしまいそうだが、絵を隅々まで見ることができるようになりそう。他のキリスト教関係の図像の本を読んでから、また戻ってきたい。2023/06/04

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