筑摩選書<br> 敗戦と戦後のあいだで ──遅れて帰りし者たち

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筑摩選書
敗戦と戦後のあいだで ──遅れて帰りし者たち

  • 著者名:五十嵐惠邦【著者】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 筑摩書房(2023/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 450pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480015495

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内容説明

敗戦後、歴史的力により戦地から本国への帰還が遅れてしまった人びとがいる。復興から経済発展へのパラダイムが形成されつつあるなか、拭いがたい違和感や齟齬をかかえ、彼らは戦後という時間をいかに生きたのか。五味川純平、石原吉郎、横井庄一、小野田寛郎、中村輝夫……。本書は複数の周縁的・両義的存在の歩みを丹念に読み解き、もうひとつの歴史を描きだす試みである。戦後日本社会を構成する条件とは何か、いま一度根本から問う。

目次

はじめに/この本のねらい/この本の構成について/第一章 戦いが終わって──映画の中の帰還者たち/帰還者をめぐる文化的表象/映画の中の復員兵──『野良犬』/映画の中の引揚者──『黄色いからす』/遅れて帰還した者たちをめぐるイメージの変容──『私は貝になりたい』/心優しき破壊者──『馬鹿が戦車でやって来る』/メディア・イメージと個人の体験との相互作用/第二章 五味川純平と『人間の條件』──帰還できなかった梶上等兵の物語/梶はなぜ戦後日本に帰ることを許されないのか/『人間の條件』と戦後日本/五味川純平の「戦後」までの足取り/もはや戦後ではない/知識人の良心としての梶/羊の番犬/軍隊内での抵抗/敗走そして美千子の生活/捕虜収容所そして脱走/日本人の、日本人による、日本人のための物語/映画『人間の條件』について/戦場から日本への足取り/「歴史の実験」/『戦争と人間』/第三章 遅れて帰りし者たち──シベリア抑留と抑留者の戦後日本への帰還/七十万~八十万の抑留者と十万人以上の死/生存のための闘い/抑留経験者であることの心理的、あるいは存在論的状況/ソ連への怖れ、あるいはユートピアとディストピアのあいだで/元捕虜たちの終わりない努力/第四章 告発せず──石原吉郎のシベリア抑留体験とその内的な問い直し/遅れて到着する体験/シベリアでの経験/詩から散文へ/肉体と精神の葛藤/ペシミスト鹿野武一の勇気/人間のすこやかなあたたかさ/詩という呼びかけ/肉体の桎梏/石原吉郎の残したもの/第五章 英霊の生還──横井庄一をめぐる戦後日本の狂騒/一九七二年に発見された日本兵/グアムへの道/敗残兵としての生活/横井の選択/横井庄一と戦後日本/横井の出現と報道合戦/結婚そして参議院選挙出馬/その後の生活/第六章 過去からの救出──元陸軍少尉小野田寛郎と戦後日本との確執/人間的な、あまりに人間的な/〝救出〟までの長い道のり/投降の儀式/小野田は日本の敗戦を知っていたのか/「游撃戦士」の誕生/命令を下したのは誰か/複雑怪奇な状況把握/小野田寛郎と「蜘蛛の糸」/その後の小野田寛郎/終章 最後の「日本兵」の帰還──中村輝夫/スニヨン/李光輝の戦後/最後の「日本兵」中村輝夫/無関心なメディア/高砂族陸軍特別志願兵中村輝夫/衆人環視のなかのドラマ/マス・メディアという鏡/真夏の夜の夢/中村輝夫という過剰さ/小さな歴史/註/あとがき/人名索引・事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

21
遅れて帰ってきた者たちは豊かな戦後社会にとっては異物でしかなかった。石原吉郎論が白眉。全体的に非常にスマートさを感じさせる。2022/03/19

kozawa

2
戦後の戦前戦中認識の一面を振り返ろうという。特に中心になるのは五味川純平解釈と、70年代復員兵横井、小野田、中村。興味深くはあるけれど、特に五味川解釈はどうなんですかね。著者自身これまで読まれていたのとは必ずしも一致しない読みをするとしているが。 著者の問題意識の一つ、後の「記憶」は社会化されてのものだ-似たような被害の福井地震と三河地震で後者は戦時報道管制下なので記憶がより薄れている的な-という視点自体はもちろん重要だと思うけれど。2012/11/03

ななっち

1
映画や文学、またはメディアの取り上げ方により、戦後がどのように受容されてきたかということを描いたもの。シベリア抑留、横井、小野田といった順の解き明かしは興味深いものがあります。2012/12/10

takao

0
ふむ2018/03/21

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