内容説明
人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説。
奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。
結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。
夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。
一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。
隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。
※この作品は単行本版『満天のゴール』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
となりのトウシロウ
108
夫の浮気により、十歳になる息子・涼介を連れて父がいる故郷の北丹後に戻ってきた奈緒。地元の海生病院で看護師として働く。医療過疎地域で奮闘する三上は海生病院の常勤医師として、半島最北の医師がいなくなった診療所の代理医師として在宅医療に従事していた。命が尽きる日をゴールとしてそこまで精一杯生きる人達の意志を尊重する三上の姿が胸を打つ。「人は一生に一度しか死ねない、たった一度だけの死だから自分にも周りの人にも悔いのないようにしたい。」死に様はその人の生き様を写す。涙無くして読めない感涙小説。2025/02/16
チーママ
89
「先生、ゴールまであとどのくらいやろか」丹後半島の北端の医療過疎地に暮らすトクさんが、往診に来た三上にこの言葉を投げかけたとき、もしかしてゴールって死ぬこと?と気がついたが、二人の会話は実に長閑で温かみのあるものだった。三上がなぜ死ぬことをゴールと言うようになったのかにはある理由があったのだが…。見送る者も見送られる者も、死ぬと言うよりゴールの方が明るくて軽やかで絶対に良い。私もいつかはゴールを迎える。それをどこで迎えたいかは思案中だが、おばあちゃんはゴールまで走り抜いたね、そう言われたら嬉しいな。2025/09/23
花ママ
62
「春の星を一緒に」を読む前に、ほとんど忘れていたので、年末から時間かけて再読しました。身勝手な理由で夫から離婚をつきつけられ、10歳の息子を連れて何十年ぶりに故郷に戻ってきた奈緒。迷いながらも故郷で暮らしていくことを決心して、資格は持っていたものの一度も就職したことがなかった看護師として働き出す。そこで医療過疎地域で終末医療に奮闘する医師三上と出会い、同僚となる。10歳の息子涼介の素直さと母親を思いやるけなげさと丹後地方の自然の豊かさに魅せられました。改めてタイトルが秀逸です。2026/01/04
ぽのぽの
61
【死はゴールなのだ】人は最高のゴールをめざして今を懸命に生きている。なんて心強い言葉だろう。励まされているようで、見守られているようで、癒やされる。医療過疎の地域で高齢者の在宅医療に取組む医師。フィクションの世界だと思っていたが、巻末の対談で実在すると知り驚いた。自分はどんなゴールをめざすのか?それは即ち、今現在の生き方が問われる。私は満天のゴールとまでは望まないけど、自分なりにめざすゴールを考えてみたい。『死生観を大きく変える感涙小説』とのウラスジに、偽り無し!2025/12/20
yuuguren
60
BS番組に著者が出演しており手に取ってみた。前半主人公の奈緒が夫に裏切られるシーンでは、夫と浮気相手に対してあまりに気弱すぎてイライラしてしまった。丹後でのパートで末期がんの独り身の老人トクさんを看取るシーンがあるが、とても静かな最期を迎えるところが印象に残った。奈緒の息子の涼介は天真爛漫な割にしっかりしていていいキャラクターだった。2026/03/24
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