内容説明
農園主とその労働者たちの生きる姿を圧倒的な筆致で描き出す名作!
舞台は1960年代スペイン。荘園制の残り香かおるスペイン南西エストレマドゥーラの大農園で、還暦を過ぎ、認知症を患ったアサリアスは暇を出され、義弟の家へやっかいになる。
義弟はすぐれた嗅覚をもち、主人の狩りのお供にと重宝されていたが、ある日、事故で足を骨折してしまう。義弟のかわりにアサリアスがお供をするも、いつもどおりとはいかない。
狩りの調子は振るわず、苛立った主人が怒りをぶつけた先は……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
49
題名と表紙装画に惹かれ。舞台は1960年代スペイン。未だ荘園制が残る大農園で、還暦を過ぎた、“少しだけお人好しで、純粋無垢”なアサリアスは若様に解雇され、義弟の家へ――。映画化もされた作品の初訳。6巻構成で、それぞれの巻で主人公が入れ替わる。文体が独特、巻末に1つの終止符(ピリオド)なので、全頁通し終止符はたったの6個(日本語訳では、各巻末に句点6個)だが、この文体妙に嵌ったような感じがするから不思議だ、あれま、いつも間にか、<かわいいトンビちゃん、かわいいトンビちゃん、>ってお祈りのように呟いてたよ。⇒2023/04/13
かもめ通信
22
舞台は1960年代後半のスペイン南部。貧困にあえぐ貧しい人たちと、遊んで暮らす金持ちがいて、心優しい人たちと、わがまま放題の人たちがいる。それでも、誰一人幸せになることのない残酷なラストは、新しい時代の幕開けを予感させる。2023/04/03
やまはるか
17
表紙カバーの人物画がひどくグロテスクに感じられたが、読み終えて改めて眺めると少しもグロテスクには感じられず、慈悲に溢れているのが分かった。装画は訳者の姪である喜多木ノ実氏で彼女がフランス語訳本と本和訳の突き合わせをしたとあと書にあった。「」と。を用いない文体で、あれま、わたしが兄にどうしろというの、運命だと思って諦めてよ、という妹の「あれま」が無垢なる主人公の存在を支えている。スペインの古典に通じるような痛快な物語だった。あと書きによるとスペイン語の終止符と句点を一致させたとあり、わずかに句点はあった。2026/02/15
よしじ乃輔
15
1960年代スペイン地方農園に残る荘園時代の農奴と支配階級の対比を描く。従順に仕える者と傲慢さの対比。階級の存在で意思疎通ができているが人間として認めていない描写がやんわりと続く。障がいがある老人と幼女が主人公となり強欲の対局さで無垢な様が際立つ。結末は支配階級の終わりを示唆するようにも思えました。2023/12/07
くにごん
3
スペインの方の作品。階級社会をよく表していて、絶対に抗えることのできないイバン若様の暴君ぶりと、それに懸命に答えようとするちびパコが切ない。最後に納得の結末になっているが、その描写も読み応えがあった。2023/03/23
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