内容説明
1946年、戦争で両親と住まいを失った里見滋は、焦土と化した東京を放浪し、飢えと貧困に苦しむ。2020年の東京、コロナ禍で自粛生活を続ける洲崎駿は、父の勤務先が倒産し、楽しかった高校生活が破綻する。絶望の淵から這いあがろうともがくふたりを待っていたのは、驚くべき運命の巡りあわせだった。心にしみる感動と勇気がみなぎる傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
58
読んでいる人が少なそうで残念だなぁ~と思った一冊でした。二つの時代の少年が生きていく中で、少しづつ成長していく過程の話が交互に描かれていて、頭を切り替えながら読み進めました。そして、最後にその二つの話が交差する場面では、僕にとっては鳥肌物でしたね。それほど、読み進めながら二つの話がどの時点で繋がるんだろうかと思いながら読んでいるワクワク感がたまらなかったですね。そして、二人の少年が、戦争とコロナという時代背景の中で自分自身で考え、自分で決めた道を進んでいく姿に彼らを応援したくなりました。2025/06/23
オールド・ボリシェビク
6
福澤徹三も面白い作家なのに、なかなか、これといったものが出ず、メジャーになりきれないな。この作品は終戦直後を力強く生きる戦災孤児と、コロナ禍でくすぶる現代の高校生を交互に描きつつ、その時代に生きる意味を考えていく佳作なのである。少しく、通俗的・ご都合主義的なところがあるのは否めない。しかし、それを乗り越え、美しいラストに着地させる技量は認めるべきだ。北上次郎さんの解説も感動的だ。2023/03/27
minu tanu
4
暗い話そうでしばらく放置していましたが、過去と現在の対比が抜群に上手く読み始めるとあっと言う間に読了。2023/05/02
永夢👻
3
次々と起こる出来事に心が痛くなるが、読んでよかった。 素敵な結末がグッと来ました。 今だからそこ読みたい1冊。 2023/03/27
らいなすぷ
2
全く異なる時代を生きる少年2人が主人公の話です。過去も現代も、何が幸せで何が不幸かは単純ではなく、何を感じて何を考えていくのかが重要なのかなぁと思いました。主人公に感情移入すると、辛いことも少なからずある内容ですが、せっかく手に取ったのであれば、是非最後まで読んで欲しい1冊かと思います。2024/08/01