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内容説明
ほんとうはすべて知っていた。心の底流(undercurrent)が導く結末を。夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。 映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。 「今、最も読まれるべき漫画はこれだ!すでに四季賞受賞作で確信していたその物語性と演出力に驚く。豊田徹也は心の底流に潜む、なにかの正体を求めるように静かに語る。」――(谷口ジロー)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
66
Toi booksで購入。銭湯で働く主人公かな。夫が突然蒸発し休業した銭湯を伯母さんと2人で再開するが、そこに住み込みで掘という男が就職する。物静かでよく働くが、何の目的で銭湯に来たのか。かなはいつも同じ夢を見る。首を絞められたまま水に沈められる夢を。捜していた夫が見つかり意外な事実を知る。そして掘の過去とかなとの関係、かなの夢の正体、次々に明らかになる繋がりが見えたところでかなはある決意をする。アンダーカレント、底流。そこに流れているのは、ひとはわかりあえることはできるのかという諦念。深い余韻を残す漫画2019/11/05
たまきら
38
バンドデシネの読後感に、純粋に驚いています。先日取り寄せた本にこの著者が一編だけ紹介されており、そのテンポや余白の使い方が気に入ってぜひ他の著作が読みたくなり、探していました。ようやくこの本を入手できたのですが、その理由は10月に映画が公開されるから。夫に突然失踪されながらも日常を保とうとする主人公。そして手伝いにやってきた謎めいた男…。狂言回しの探偵、うさん臭いじいさん。銭湯という舞台も「取り残された」にふさわしい舞台。そしてラストシーンの余韻…。なんでこの人を知らなかったんだろう?もっと読みたい。2023/06/20
ぐっち
38
久しぶりに読み直した。いやー面白い、いやー完成度高い!婿養子が失踪した風呂屋の女主人、フラリとやってきたハイスペック手伝いの男、怪しい探偵、近所のおばさんやじーさんや女友達…何気ない物語がうまく絡まっていく。それにしてもずっと待ってるんですけど新刊が出ない。ぐぬぬ。2018/09/29
Shimaneko
29
ずっと気になっていて、ようやく入手。いや、じわじわ来るね、これは。ものすごく感動するとか号泣するとかじゃないんだけど。確かに、人をわかるってどういうことだろう。もの悲しくもほろ苦いストーリーの合間に挟まれるギャグがけっこうツボった。2013/08/11
shikada
28
銭湯を切り盛りしていた主人公の夫が、ある日何も告げずに蒸発する。夫は何を考えていたのか、自分に非があるのか。結局、他人が腹の中で何考えているのかなんて、一生わからないのかもしれない。話せば分かる、なんてのは幻想かもしれない。豊田徹也さんの作品は、映画のワンシーンみたいな場面の連続で、言いようのない臨場感がある。主人公が首をしめられるシーンは、それを読んでいる自分自身の首に手をかけられたような錯覚に陥った。2020/02/05