時間に抗う物語 - 文学・記憶・フェミニズム

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時間に抗う物語 - 文学・記憶・フェミニズム

  • 著者名:中谷いずみ
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  • 青弓社(2023/02発売)
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  • ISBN:9784787292735

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内容説明

ジェンダーや階級などの今日的な視点から、暴力をめぐる小説や思想を読み解くことはいかに可能なのか。他者の痛みを描く文学を介して、私たちがそれらの経験を分かち合うことはできるのか。

戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品などを「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解く。そして、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入し、批判的に検証する。

それらの実践を通して、女性への差別や抑圧される身体、歴史の語りとホモソーシャル、異性愛主義体制の再生産、戦争の記憶など、暴力やジェンダーの問題を私たちの目の前に出現させる。忘却に抗い、痛みの経験や暴力の痕跡を分かち持つための想像力を呼び起こす文学研究の成果。

目次

序 章 時間に/で介入する
 1 文学と想像的世界の二重性
 2 暴力に潜む時間――津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
 3 距離をとりつつ、取り憑かれる――歴史の射程
 4 本書の構成

第1部 運動/性/階級のポリティクス

第1章 フェミニズムとアナキズムの出合い――伊藤野枝とエマ・ゴールドマン
 1 女性の分断は何に寄与するのか?
 2 フェミニズム批判のレトリック――エマ・ゴールドマンと伊藤野枝
 3 男たちのアナキズム

第2章 プロレタリアの「未来」と女性解放の夢――性と階級のポリティクス
 1 無産階級運動と女性の要求
 2 運動への献身と「貞操」をめぐるレトリック
 3 “個人的なことは政治的なことである”
 4 「女人芸術」の「プチブル的作品」が描くもの

第3章 残滓としての身体/他者――平林たい子「施療室にて」と「文芸戦線」
 1 闘争主体としての「母」
 2 純化されるイデオロギーと残滓としての身体
 3 同室の女たちと「私」

第2部 暴力を描く地点

第4章 強制労働の記憶/記録――松田解子「地底の人々」
 1 春川鉄男「日本人労働者」評と帝国主義をめぐるナラティブ
 2 暴力の位相――松田解子「地底の人々」の初出と世界文化社版から
 3 「中国人労働者」たちの蜂起と連帯

第5章 歴史の所在/動員されるホモエロティシズム――大江健三郎『われらの時代』にみる戦争の痕跡
 1 「停滞」する世界の表象
 2 ホモソーシャル/ホモセクシュアルな欲望
 3 歴史の免責と暴力の傷痕

第6章 「戦時」をめぐる歴史的時間の編成――井伏鱒二「黒い雨」
 1 「庶民」の表象と「異常な戦時」
 2 去勢された家長と敗戦
 3 「喪失」と「回復」をめぐる遠近法

終 章 未来を語る/語らないこと――井上ひさし『父と暮せば』
 1 『父と暮せば』の時間
 2 記憶の回復/整序と再生産的未来
 3 単線的時間の(不)可能性――大田洋子『夕凪の街と人と』を参照軸として

初出一覧

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウサギのバイク

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図書館でたまたま目に止まって読んだのだが、物凄く面白かった! 1910年代〜1930年代のフェミニズム的な思想、論争は興味深く、伊藤野枝と山川菊栄の廃娼論争などは現在のセックスワーク・イズ・ワーク論争と同じでは?平林たい子の小説に描かれた葛藤は、仕事をする現代女性の悩みにも通じる。 近現代の日本の暴力に関する、小説から読み解く考察も非常に読み応えがあり、今の日本人の歴史認識の甘さや無自覚さがいかに根深いかを痛感。 同じ著者の他の本も読みたい。2023/05/08

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