新潮文庫<br> 地の糧(新潮文庫)

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新潮文庫
地の糧(新潮文庫)

  • ISBN:9784102045145

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内容説明

君はすっかり読んでしまったら、この本を捨ててくれ給え。そして外へ出給え――。語り手は、青年ナタナエルに語りかける。「善か悪か懸念せずに愛すること」「賢者とはよろずのことに驚嘆する人を言う」「未来のうちに過去を再現しようと努めてはならぬ」。二十代のジッドが綴った本書は、欲望を肯定し情熱的に生きることを賛美する言葉の宝庫である。若者らの魂を揺さぶり続ける青春の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クプクプ

68
私はジッドの本は随分、読みましたが、この作品は、今日出海(こんひでみ)さんの訳が素晴らしかった、と感じました。私は外国のことには疎いですが、イタリアやコンゴのことが登場していたように感じました。この作品は、ジッドが一人称で、人生の格言を哲学的に熱く語っていて、それはキリスト教とも関係していると思います。「地の糧」というタイトルの意味も出てきて、抑制のきいた、いいタイトルだと思いました。私も読んでいて、人生に対する、眠っていた熱い闘志がよみがえった、読書になりました。2025/06/14

海燕

26
ジッドは学生時に読んだ「狭き門」以来、約30年ぶりか。海外の散文詩を訳で読むため、味わいは減じているだろう。寺山修司が引用したとして知られる作品。明確な筋書きがないので読むのに難儀はするが、しんどくなれば割り切って面白い表現を探しながら斜め読み、ということを繰り返して読了。聖書に馴染み、キリスト教の知識があったら楽しめるに違いない。散文詩は、フランスではボードレールに始まりランボオなどが重要な仕事を残しているらしい。仏語力、日本語の語彙力、加えて大変な忍耐をもって訳出された今日出海氏への敬意を感じた作品。2025/05/26

アムリタ

16
40年近く再版されていなかったジッドの「地の糧」が新潮文庫からヨルシカとのコラボレーション限定カバーと共によみがえり異例の売上げとのこと。 それはそれとして、全編を貫く散文詩は、 「頭の学問を止めよ」 「平和な日を送るよりは、悲痛な日を送ることだ」 「周囲を捨てよ、君の家庭、君の書斎、君の過去ほど危険なものはない」 と続く。 欲望と快楽、本能の讃美の書。 そこを突き抜けた先にジッドが求めたのは意外にも、本来無一物という禅の境地に限りなく近いもののように感じられた。 読み終えてまだ眩暈に似た感覚のまま。 2023/07/07

taku

14
若いジッド君、情熱と欲望を溢れさせる。そして放浪してる。掴める思想はわかりやすいけど、それ以外の抽象表現部分が読み解きづらくしてるな。リリカルでポエティックに、少なからずナルシシスティックなのだと思う。語りかけていることは、本や他人の思想で固定されてはいけない、外に出よ、欲望を発散し、自ら求めよ、世界に触れよということだね。気になった言葉「大切なことは君の眼差しの中にあるので、見られたものの中にはない」 。『星の王子さま』の「大切なものは、目に見えない」と較べてみる。2024/07/05

孤島天音

13
ところどころに出てくる果実や音、情景の描写がインスピレーションや郷愁、希望、、、(うまく言葉にできない感覚)を引き出してくれる。そしてこの感覚はこの本に書いてあるように「この本を捨てて」外に出ないと真に味わえないかもしれない。実際に本を捨てる勇気はないけど、もっと外に出て、自然界の色々なものを通して得られる感覚を求めてみるのもいいかもしれない。2023/07/30

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