新潮文庫<br> 輪舞曲(新潮文庫)

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新潮文庫
輪舞曲(新潮文庫)

  • 著者名:朝井まかて【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 新潮社(2023/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101216324

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内容説明

私、四十になったら死ぬの。松井須磨子の後を継ぐと目された女優、伊澤蘭奢が、口癖の通り早逝した。そして集まった四人の男。愛人兼パトロンである実業家の内藤、蘭奢が人妻だった頃からの恋人、徳川夢声、サロンに出入りする帝大生の福田、そして生き別れの息子、佐喜雄。彼らそれぞれが見た蘭奢の姿が、一人の女の像を結び始める――。男たちを幻惑しながらもひとすじに生きたある女優の肖像。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

104
大正時代のモダンと情熱に生きた松井須磨子の後継者・伊澤蘭奢の物語。「40歳になったら死ぬの。」の口癖の通り早逝した新劇女優・伊澤蘭奢の生涯を彼女を取り巻いた4人の男、愛人兼パトロンの内藤、蘭奢が人妻だった頃からの恋人・徳川無声、帝大の文学青年・福田、生き別れの息子・佐喜雄の視点から描いた作品。初めて知る伊澤蘭奢は、大正時代に、夫と離婚し、実の息子と別れ、多くの人々の誹謗中傷を浴びながらも、女優という多難な道を突き進んだ一人の女性としての生き様が見事に描かれている。いつもの朝井まどかの作品とは一味違う作品。2023/11/16

となりのトウシロウ

77
大正時代の新劇女優、伊澤蘭奢を、彼女を取り巻く4人の男性視点で描いた作品。舞台を目指して妻と母の役割から降り、島根から再び東京に出てきた蘭奢。女優の地位は低く活動写真は無声の時代、舞台の仕事だけでは生きていくのも難しい。そんな時代に趣くまま奔放に生きる女性、周りの男たちを巻き込む力のあったのかも。あまり共感は出来ないけど、この時代に凄い女性がいたんだな。話の展開は視点や年代がコロコロと変わるので頭は混乱気味でした。2023/11/12

優希

49
伊藤蘭奢の肖像の物語。パトロンである愛人、人妻時代の恋人、帝大の文学青年、生き別れの息子の4人が集まり遺稿集を作ることになります。それぞれ異なる顔を持ち、やがて蘭奢の人生のようにそれぞれの人生が輪舞曲のように踊り出すのが印象的でした。大正時代をモダンに生きた女優の情熱が伝わってくるようです。2025/04/28

みこ

42
己に正直に生きた女優、伊澤蘭奢の生涯を彼女を取り巻いた4人の男とともに描く。女性は家でおとなしくしているものという価値観に反発するかのように女優の道を目指した彼女は演じることを通じて古い価値観に縛られた自分以外の何かになりたかったのだろう。彼女自身よりも周辺人物を掘り下げる描写により大正時代の価値観の変動を描いているのだが、そのぶん本人の描写が駆け足な感はある。巻末のあとがきを読むと、地元で評判の芳しくないことに配慮したとのこと。2023/05/17

ミエル

39
伊沢蘭奢の逞しく慎ましい生涯、パトロンである愛人、長年の腐れ縁の弁士、火遊び相手の帝大生、婚家の実家に置いてきた息子、四人の男が彼女の死後に遺稿集を作る。歴史や血縁の濃い故郷津和野から東京へ、逃げるように飛び込んだ演劇界は女優不足の真っ只中、三十路近い女にも需要があった事は幸運だっただろうけど、努力はもちろん、それ以上に肝の座り方と覚悟が求められた事が充分理解できた。バイト感覚の活動写真では本名を、舞台に立つ時にだけ「伊沢蘭奢」の名前を使う誇りが心に響く。為事(しごと)を背負う女の潔さと決意がかっこいい。2024/06/09

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