内容説明
そして誰もがいなくなる……
嵐に閉じこめられた孤島の屋敷ではじまる恐怖の殺人劇
休暇をすごしに孤島の別荘に集まった十人の若者たち。家族に内緒で参加したメグは、予想外の事態に直面する。親友のために恋愛を断念した憧れの相手が来ているのだ。嵐が島を襲うなか、何者かの恨みを示す謎の動画が発見され、ついに犠牲者が! 通信が遮断され、完全に孤立した状況下で、人間関係はもつれ、十人は次々命を落としていく。いったいなぜ? そして犯人は? 映画化・ドラマ化で人気の著者が『そして誰もいなくなった』の世界に挑んだサスペンスフルなミステリー。〈解説・千街晶之〉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
130
人を殺したくなったらコロンバインのように銃を撃ちまくるのがアメリカの高校生らしいが、今回はクリスティの名作の本歌取りで外部との通信が断ち切られた別荘を舞台に、ひとりずつ念入りに殺されていく。全員が知り合いで互いの性格や関係性を熟知しているため、表面的には明るくてもティーンエージャーらしい容赦ない残酷さが原因の犠牲者も出ている。そこで生まれる腐った部分が少しずつ暴かれていくプロセスが、サスペンスを盛り上げる。映画風の展開がやや鼻につくが、トリックや謎解きより動機を重視したドラマは島田荘司の近作より読ませる。2023/06/17
えにくす
111
米国・シアトル。郊外の湾に浮かぶ無人島でのパーティーに、高校生の男女十人が招待される。お決まりの嵐が近づき電話&ネットなど通信が遮断された中で、一人ずつ何者かに殺されて行くという、ミステリーの名作「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品。内容は本家に及ぶべくもなく、映画「スクリーム」に似た雰囲気の、犯人当てスラッシャースリラーだ。高校生たちの恋愛・友情・ゴタゴタと、残虐な殺人事件が交互に続く。比較的読みやすいので、気楽に肩肘張らずに読みたい方や、上記のスラッシャー映画が好きな方にお勧めだ。★3.52023/04/07
aquamarine
79
読友さんたちも言っていたが、本当に題名がずるい。まあ、想像するような孤島で順番に…が起こる物語で、10人は友人の別荘のパーティに招待された高校生。誰が誰を好きだとか利用しただとかいじめだとかを回想しながら、進んでいく。ミステリというよりはサスペンススリラーだろう。読み終わってみると残ったのはティーンならではの問題と容赦のなさで、こんなにグロテスクに次々に殺人が起きたのに動機はすとんと腑に落ちた。緊迫感が薄いとかあの子は知ってて~?とかあの伏線は?等思うところはあるが、気にしてはいけないのかもしれない。2023/06/24
yukaring
71
孤島のクローズドサークルなので「そして誰もいなくなった」系を想像していたがどちらかというとスラッシャー系スリラー。メグを合わせ10人の高校生達がパーティーに招待されて孤島の別荘に集まる。しかしホストは来ずしかも外は大嵐で島は孤立というホラー映画の王道展開。別荘で見つかる不気味な動画、そして感情の行き違いや複雑な恋愛事情に人間関係は縺れに縺れたところで最初の犠牲者が!誰を信じていいのかわからず混乱するメグを嘲笑うかのように起こる残酷な殺人と屋敷に残される謎のマーク。スラッシャー好きにおすすめのサスペンス。2023/04/05
NAO
61
クリスティの名作を元ネタにした現代版『そして誰もいなくなった』。孤島の別荘での秘密パーティーに招待された10人の高校生が、謎のビデオを見たあと一人ずつ死んでいく。助けを呼べない状態の孤島で読ませ誰が犯人なのかわからないという状況は、やはりスリリング。元ネタに合わせようとしすぎてかかなり無理があるなあと感じる点も多いが、元ネタと違って少しずつつながりあっている思春期の高校生の微妙な関係性の描写がこの作品の読みどころとなっている。2023/06/07