内容説明
「不能ニナツテモ或ル種ノ性生活ハアルノダ―――」。七十七歳の卯(うつ)木(ぎ)は嫁の颯(さつ)子(こ)の若さと驕慢さにあこがれ、変形的間接的方法で性的快楽を得ようとする。性に執着する老人を戯画的に描き出した晩年の傑作長篇。単行本未収の随筆「老後の春」と絶筆の随筆「七十九歳の春」を収め、詳細な註釈を加えた。初刊本からとりなおした美麗な棟方志功による板画二十余点を収載。吉行淳之介、千葉俊二による解説つき。
感想・レビュー
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還暦院erk
8
図書館本。漢字カタカナ交じり文は読み慣れないので時間がかかった。内容も相当HENTAI…でも嫁へのセクハラパワハラという「一方的感」は少ない…というか日記の記述自体が「フーテンの督さん」による空想妄想混入であり「信用できない書き手案件」なのだ。それはラストの颯子と浄吉との何気ない会話で判明する。谷崎潤一郎…恐ろしい子ならぬ恐ろしい翁(白目)!まぁ老醜や病などの記述も多いので読者は選ぶが読後感は割と良い。とにかく今まで読んだこと無いジャンルで独創的ったらない。川端康成の『眠れる美女』より個人的には好み♡2023/07/28