講談社学術文庫<br> 日本の西洋史学 先駆者たちの肖像

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講談社学術文庫
日本の西洋史学 先駆者たちの肖像

  • 著者名:土肥恒之【著】
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  • 講談社(2023/03発売)
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  • ISBN:9784065312636

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内容説明

明治維新以来、「西洋化」は日本の国策であり、西洋は日本人のモデルであり続けた。では、西洋人が自らの政治・経済・文化・社会の来歴を探求した歴史学を、日本人が学ぶことにはどんな意味があったのだろうか。明治から昭和まで、先駆者たちの生き方と著作から、「西洋史家の誕生と苦悩」のドラマを描く。
明治20年、帝国大学に着任したお雇い外国人教師、ルートヴィヒ・リースが、ドイツでランケが確立した近代歴史学を講義したのが、日本の歴史学の始まりだった。リースの弟子で日欧交通史を開拓した村上直次郎、慶應義塾に学び経済史学の草分けとなった野村兼太郎、ルネサンス論の大類伸、イタリア史の羽仁五郎。マルクスとウェーバーへの深い理解から大きな業績を残した大塚久雄。そして、戦時下の西洋史家たちは「大東亜戦争の世界史的意義」をどのように論じたのか。
また、1920年代にウィーンに留学し、西洋の「受け売り」でも「追随」でもなく、みずから「原史料を直接考究する」主体的学問を確立した上原専禄は、戦後、13世紀のモンゴルの世界征服の時代を「世界史の起点」とする新たな世界史の構想を得るに至る。
[原本:『西洋史学の先駆者たち』中央公論新社2012年刊を増補]

目次

序に代えて
第一章 ドイツ史学の移植――ルートヴィヒ・リースとその弟子たち
第二章 歴史の経済的説明――欧州経済史学の先駆者たち
第三章 文化史的観照を超えて――大類伸のルネサンス論とその周辺
第四章 「原史料の直接考究を第一義とすること」――上原専禄とドイツ中世史研究
第五章 近代資本主義の担い手を求めて――大塚久雄の近代欧州経済史研究
第六章 「大東亜戦争の世界史的意義」――戦時下の西洋史家たち
補章 世界史とは何か――上原専禄の世界史像と地域概念

学術文庫版あとがき
参考文献
人名索引

目次

序に代えて
第一章 ドイツ史学の移植――ルートヴィヒ・リースとその弟子たち
1 ランケ史学とリース
2 日欧交渉史の大家たち――リースの弟子たち1
3 西洋史家の誕生――リースの弟子たち2
第二章 歴史の経済的説明――欧州経済史学の先駆者たち
1 慶應義塾理財科の教授たち
2 東京商科大学の欧州経済史学
3 日本経済史研究所と社会経済史学会の設立
4 ロシア史とアメリカ史の場合
第三章 文化史的観照を超えて――大類伸のルネサンス論とその周辺
1 大類伸――中世文化からルネサンスへ
2 大類の弟子たち1――平塚博と塩見高年
3 大類の弟子たち2――千代田謙と村岡晢
4 羽仁五郎のイタリア
第四章 「原史料の直接考究を第一義とすること」――上原専禄とドイツ中世史研究
1 学生時代とウィーン留学
2 ドイツ中世史料研究
3 ドイツ近代史学史の研究
4 山中謙二と堀米庸三
第五章 近代資本主義の担い手を求めて――大塚久雄の近代欧州経済史研究
1 恩師本位田祥男
2 『近代欧洲経済史序説』への道
3 「マックス・ウェーバーに於ける資本主義の『精神』」
4 戦後の「大塚史学」とその批判
5 高橋幸八郎と松田智雄
第六章 「大東亜戦争の世界史的意義」――戦時下の西洋史家たち
1 イギリス植民地主義批判
2 日本諸学振興委員会と大類伸
3 戦時下の上原専禄
4 鈴木成高の歴史哲学
補章 世界史とは何か――上原専禄の世界史像と地域概念
はじめに
1 「世界史の方法」をめぐる戦後初期の状況
2 「現代アジア」と『日本国民の世界史』
3 「上原世界史」における地域概念
4 「世界史の起点」
おわりに
学術文庫版あとがき
参考文献
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

18
リースの着任から終戦までの日本の西洋史学の歩みをたどる。戦争との関わりやマルクス主義の受容など注目すべき論点が盛り込まれているが、この手の本はやはり研究者同士のゴシップに目が行ってしまう。羽仁五郎が留学先で一緒になった糸井靖之から「お前は帰国したら日本史をやれ。天皇制を批判的にやれば就職できないが、君は就職できなくても食える」と言われたという話は面白い。また西洋史家にとってはマルクスよりもウェーバーに強く惹かれたのではないかと言うが、それは中国史家も同様だったのではないかと思う。2023/03/29

ピオリーヌ

14
https://gendai.media/articles/-/107515?imp=0 こちらの記事から辿り着き読了。お雇い外国人リースが来日してから幕を開けた日本の西洋史学。大塚久雄、羽仁五郎、堀米庸三といった大家の名が並ぶこの本の中で、特に大きな存在感を見せるのが、上原専禄である。上原専禄はあくまで原史料にこだわる姿勢により、その後の日本の西洋史学のレベルを大きく引き上げた。日本人でありながら、ドイツの学界と同じ水準で史料を読みこみ、分析し1942年に刊行した『独逸中世史研究』は同学の研究者たちを2025/08/28

電羊齋

13
お雇い外国人リースによるランケ史学の移植から第二次世界大戦終戦までの日本の西洋史学の展開を先駆者たちの群像を通じて描く。ランケ史学から社会経済史への潮流、マルクスとウェーバーの受容、戦争との関わりなど興味深い点が多い。特に上原専禄による世界史像の提唱を掘り下げていて面白かった。こうした歴史は、日本人が西洋史ひいては外国史を学び、研究する意味、ひいては日本と日本人が西洋という存在ひいては外国という存在といかに対峙してきたか、いかに理解しようとしたかを考える手がかりになるかもしれないと思った。2025/09/07

2000円マスター

1
面白かった。

Памир

1
きらめくばかりの碩学の活動記録。しかし、言論統制下の部分は、研究か?と飛ばした。2023/08/27

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