内容説明
ヨーロッパ大平原を埋め尽くすソヴィエト連邦の大機甲部隊……かつてアメリカを凌駕し、西欧諸国を畏怖させたソヴィエトの戦車・装甲車輌は、どのように発展していったのか? 物理学者である筆者が、技術的視点からソヴィエト/ロシアの兵器開発を辿る。
2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争に参加している両軍の戦車・装甲車を網羅しており、同戦争を読み解くうえでも一助になる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
20
2023年2月刊行。ウクライナにおける戦争関連ニュースで出てくる、ロシア軍(そしてウクライナ軍)の戦車について知りたいと思い、この本を買った。簡潔でかつ要領を得ていて読みやすい。題名は「ソヴィエト」を冠しているが、ロシアの開発動向までカバーしている。ソ連時代についての記述で印象的だったのは、第2次大戦で活躍したT34戦車はハリコフの工場で設計・生産されたという件だ。ハリコフは今はウクライナの都市で、発音もハルキウとウクライナ語読みに変わっているのだが、もともとソ連の兵器生産の拠点だったのだな。2023/03/08
植田 和昭
8
主にロシアの戦車の発達の歴史を扱った本。特にT72からT90までの歴史を取り上げている。自動装填装置が乗員の手を巻き込んで切断したとか、ロシアのスーパーテクノロジーが詰め込まれている。T90見た目はかっこいいけど、簡単にウクライナ軍に撃破されているなあ。保管状態のT62やT54も持ち出しているらしい。1986年の戦車師団51、狙撃兵師団161には驚いた。大隊戦闘戦術についてふれられていなかったのが残念。小規模な戦いではともかく大規模戦闘に大隊戦闘団では対応できないのは、明らかだ。2023/11/10
F4ふぁんとむ
5
単にスペックを並べただけのミリタリー本とは一線を画す素晴らしい本。ドクトリンから始まり、兵器の理論に基づいた解説はとても良い。萌え絵の表紙に騙されてはいけない。2023/10/11
くらーく
3
イラストはかわいいけど、中身は濃いしハードだわ。ウクライナがソビエト時代の戦車製造拠点だったとは知りませんでした。核も配置してあったし、結構戦力的には強い国(地域)なのですな。そりゃ、独立もしたくなるわな。 戦時中の今でも、製造しているのかなあ。今までのところを報道等で知る限りだと、ごく少数の最新兵器よりは、多数の古い兵器の方が効果的のようで。そうすると、西側はアメリカを除き真っ青だろうな。絶対にロシアに勝つ形を取らせてはいけない戦いですな。などと思いながら読了。2023/09/09