内容説明
紛争地で憎しみの連鎖を解く前代未聞の挑戦。
著者は、「テロや紛争のない世界」の実現をビジョンとして掲げ、ソマリアやイエメンといった熾烈な紛争地の最前線において、テロ組織からの投降兵や逮捕者を脱過激化し、社会復帰へ導くという活動を続けている。既存の武装解除プログラムが全く通用しないテロ組織へのそうした取り組みは、国内外で高く評価されているが、それは常に、仲間の死や絶望と隣り合わせのなかでおこなわれている。それではなぜ、著者はこれほどまでに危険な仕事に向き合い続けるのか?紛争の最前線で、著者が終わりの見えない憎しみの連鎖を解いていくという前代未聞の挑戦を続ける真の目的が、今明かされる。
<目次より>
第1章 テロ組織から兵士の投降を導く
第2章 紛争の最前線
第3章 紛争地の刑務所
第4章 ソマリアギャングからの教え
第5章 理想と現実のはざまで
第6章 「テロや紛争のない世界」を実現するために
※この作品は一部カラーです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
奈良 楓
16
【良かった】是非読んだほうがいいと思った本。ソマリアなどで、テロ・紛争解決に従事する永井さんの現地ルポなど。容易な感想はとても書きにくい。読後思ったのは、相手への敬意の大切さ、一貫性の大切さ、口だけではなく行動を。2023/05/20
Melody_Nelson
7
以前何かのテレビで見たことがあるのだが、こんなに若くして凄いことやってる!と驚き、とても印象に残っていた。本書を読んで改めて感心、そして尊敬。支援したいという気持ちはあっても、現地(紛争地)に行って実際に投降兵と会って社会復帰を促すなど、なかなかできないこと。中村哲氏もそうだけど、こうした活動をしている人々には心から感服する。本書では、衒わずに自分の弱みなども記述しており、好感が持てる。ただ、途中から遺書めいた文章になってきたのが哀しい…。生きて活動を続けていってほしい。2024/04/07
芋猫
7
テロ組織からの兵士の投降を受け入れ、その後のリハビリと心身のケアを手掛けるNPO法人アクセプト・インターナショナルの代表の著書。荒れた少年時代を過ごしながら、ひょんなことから海外に興味をもち、そこからは猛烈な勢いで紛争地域での活動に突き進み、今は停戦合意にすら関与しているというんだから凄いとしか言いようがない!こういう人を天性のリーダーと言うんだろうな。世界の若者人口12億人の87%を途上国が占めるとのことで、テロの洗脳から若者を解放することは、私が考えていたよりも大きなインパクトがあるんだと分かった。2023/07/31
かしこ
5
ソマリアなどの紛争地の兵士に、兵士を辞める選択肢を提供し保護する活動をする日本人の著者。紛争と縁なく育った日本人にそんなハードなことできるの?無理でしょ?と思って読み出したけど、結構明るく紛争地の元兵士と馴染んでいる様子。生い立ちを読めば日本の普通の家庭に生まれるものの、幼い頃は躾のためと母に殴られ、学生時代は殴り返し、悪さをしながら育つが、浪人時代奮起し猛勉強で早稲田に入る。そこから世界的な活動に入るのがエネルギーあるな…リスクある方を取る生き様はそういえば最近読んだイーロンマスクもそうだった。2024/04/26
さち
4
紛争解決という困難な道を真っ直ぐに描き日々勇往邁進する、その強い意思と行動力に衝撃を受けました。ソマリアという地、テロ組織の構造、国際協力の分野における偏りについて学べます。また人と直接顔を合わせること、同じ食事をとること、ユーモアをもつこと、真剣に語り合うことなど、当たり前にあるようで当たり前ではないひとときについても語られています。テロ組織への加担は一つの生きるすべです。与えられた命を何に使うのか、どの人も選択できるべきであるけれども、それが銃や爆弾でないことを願わずにはいられません。2023/08/20




