ガーンズバック変換

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ガーンズバック変換

  • ISBN:9784152102126

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内容説明

ネットへの視覚的なアクセスを遮断する規制が敷かれた香川県からやってきた女子高生の大阪観光サイバーパンクの表題作、百合SFアンソロジーや『異常論文』へ書き下ろしとして発表された短篇群など、『元年春之祭』著者による知性と感情を揺さぶる小説全8篇

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雪紫

68
華文百合ミス作家、陸秋槎さんのSF短編集(もちろん「色のない緑」以外に百合もあるよ。表題作とか刺さるし)。SFは詳しくない身で言うのもなんだけど、サイエンス・フィクションと書くのがしっくり来る感。いわゆる未来への警鐘と言う意味で。前に読んだ「色のない緑」以外だとゴーストライターの「サンクチュアリ」。スマホゲーの「開かれた世界から有限宇宙へ」。香川県の某条例と「電脳コイル」をモチーフとした表題作がお気に入り。警鐘しても、色々難しくても、ひとの本質やあがきは意外と変わらないんだな。2023/04/22

泰然

47
古典から現代作品まで半端感なしに先人達を網羅して更に世界観を拡張するパワーに圧倒される短編SF作品集。言語、脳、メガネ、宇宙物理等を媒介にしたサイエンスに、偽伝記作品、幻想ファンタジーな歴史文学を交え、海外作者とは思えないソリッドで王道な日本SFに仕上がっている。表現者はしばしば自分が影響を受けた対象を照れ隠しで言わないものだが、陸氏は包み隠さずに表明して更に筆力で押し上げる。表題作『ガーンズバック変換』は女子高生のディストピア物で某名作アニメを引用して結末の台詞に繋がり、サブカル感もあって悔しくなる。2023/04/08

ちょき

42
Web本の雑誌の「新刊めったくそガイド」で大森望が年間ベスト級と称したことから、気になって仕方なかったが、このたび図書館で予約したらほどなく読めた。短編集だが、筆致は変幻自在。中国人作家ながら、日本在住の日本オタク作家ととらえて遜色ない(笑)が、世界や時代を超越した様々な概念へ意識がもっていかれ惹き込まれる。特に印象に残ってよかった三作品をあげておくと「物語の歌い手」中世吟遊詩人の幾星霜。「三つの演奏会用練習曲」実験的要素の掌編集。「ガーンズバック変換」香川県のゲーム条例ネタのコント。SF好きは必読では?2023/08/21

小太郎

37
あの「元年春之祭」の陸秋槎さんなので期待して読みました。8編のSF短編集。前にも感じたけど意外に読み辛いと感じるのは訳のせいかな?サブカル満載の万華鏡のような作品集でした。この中では「物語の歌い手」そもそも物語とは何ぞや?という根源的な問いかけが身に沁みます。後は「インディアン・ロープ・トリックとバジュラガーナ」「ハインリヒ・バナールの文学的肖像」の最もらしい資料、架空の作者の評伝、経歴の捏造には参りました(調べてしまったじゃないですか!)でも「ガーンズバック」と「色のない緑」の百合系がお薦め★3.5 2023/12/06

よっち

35
ネット・スマホ依存症対策条例が施行された近未来の香川県から、女子高生の美優が大阪へやってきた大阪観光サイバーパンクの表題作ほか八作品のSF短編集。売れないファンタジー作家がゴーストライターを引き受けた理由、中世の南仏を舞台とした貴族少女と吟遊詩人の出会い、詩をテーマとした三つの掌編、スマホゲーム開発をめぐる知的遊戯、表題作のほか存在していないオーストリアSF作家の架空伝記や、百合SFアンソロジー。実在の歴史をモチーフに虚構を織り交ぜて、いかにもありそうなそれっぽい雰囲気を作り出す作家の上手さを感じました。2023/03/29

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