内容説明
昭和41年。地方の資産家楡家の当主がゴルフ中に心筋梗塞64才で逝去。親族しかいない法要が屋敷で執り行われるがそこで殺人事件が起こる。長女と孫(早死にした長男の子)がヒ素で死んだのだ。調査を進めると、殺された長女の婿養子の弁護士のポケットから、ヒ素をいれたチョコレートの紙片が発見された。
「わたしは犯人ではありません。あなたはそれを知っているはずです――。」
無実にもかかわらず「自白」して無期懲役となったその弁護士は、事件関係者と「往復書簡」を交わすことに。「毒入りチョコレート」の真犯人をめぐる推理合戦は往復書簡の中で繰り広げられ――、やがて思わぬ方向へ「真相」が導いていく――。「このミステリーがすごい!」2021年版 国内編(宝島社)と「2021年本格ミステリベスト10」国内ランキング(原書房)で堂々7位のW受賞作品。A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』をオマージュとした本格ミステリ長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
59
往復書簡の形で語られる地方の資産家・楡家で起こった殺人。長女と孫が冷酷に毒殺された事件で動かぬ証拠を突きつけられ、自白したはずの被害者の夫は「実は自分は犯人でない事」を手紙である女性へ語る。それでは誰が犯人なのか?被害者一族で唯一生き残った女性と犯人として逮捕された元弁護士で被害者の夫、2人は往復書簡で自分の推理を繰り広げる。そしてたどり着いた驚きの真相とは?時代設定が昭和41年と少しレトロな印象のお家騒動的ミステリだが、シンプルでとても面白かった。手紙の中に巧妙に張り巡らされた伏線にはすっかり騙された。2023/05/29
坂城 弥生
47
往復書簡での明かされる事件の裏側。最初一族の関係が複雑過ぎて戸惑ったけど徐々にわかってきた。2023/04/11
annzuhime
41
資産家の楡家で殺人事件が起こった。逮捕されたのは元弁護士。42年の刑期での仮釈放。かつて愛し合っていた義理の妹との往復書簡で自分の冤罪を訴える。読み進めるのに時間がかかりました。最初の章で登場人物が多くてややこしかったからかな。往復書簡は欺瞞に満ち溢れていて面白かった。愛と憎しみは紙一重。2023/07/04
mayu
23
名だたる資産家の楡家先代当主の法要で起こった家族内殺人。殺人犯として逮捕された人物は無罪を唱える。本当の犯人は誰なのか…。四十年後の往復書簡のやり取りから、見えてくる犯人。そしてその後。楡家の関係者たちは皆怪しげで、面白くなりそうな展開に手に取ったけど全体的にまどろっこしくてスピード感もあまり無く書簡も長いなぁと感じてしまった。最後までしっかり考えられてるのはわかるのだけど、うーん…。2023/02/28
Yuri
17
ゾワゾワするミステリーを満喫。昭和40年代に起こった殺人事件。自首し、服役した犯人と、その義理の妹との往復書簡。二転三転して描き出される事件の真相に振り回されて、一気読み。動機の点で少し弱い気もしますが、昭和40年代という時代背景と42年という服役期間とを思えば、アリなのかと思います。2024/04/16