内容説明
文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀―聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
71
実在の人物をフィクションの世界に投影していろんな角度から読ませる時代小説。儒学者の娘・みちが藩の存亡を救うため、密命を帯び京から江戸に向けて旅立つ。ただ、女性であることは様々な障壁に出会うであろうと武士の姿で旅立つのである。幸いにもみちの兄の友人も若年寄の命を受け、共に旅をすることになる。途中で共連れになる下男は敵か味方か。道中密書を狙う怪しげな輩たちに襲われたり、関所ではドキドキ、ハラハラ。ロードムービーであり時代サスペンスでもある。娘として女として妹としてのみちの姿は切ないが、武士の姿は頼もしい。2024/03/23
Y.yamabuki
18
密命を帯び、侍に変したみちが、京を経て江戸へ上るロードノベルであり、サスペンスでもある。解説を読むと史実に見事に創作が嵌まっていて、芭蕉隠密説を思い出した。刀ではなく、知恵と工夫、互いの信頼関係で危うい道中を切り抜けるのが好みに嵌まった。誰が味方で誰が敵か?女だとばれないか?後半、折に触れて見せる女心の揺らぎにも興味が湧いてくる。原家が儒学者の家系でみち自身も勉学を志していることも折々で助けになっている。勉学を通じた信頼関係も良いものだと思わせてくれるとても面白い作品だった。 2023/07/16
陽ちゃん
7
あとがきで主人公のみちが実在の人物だと知りびっくりしました。流石に月代まで剃って男装していたわけではなさそうですが。無事に密命を果たしたみつが、幸せになればいいのですが…。2023/04/17
あきのぶ
3
まあ、それなりに脚色はされてるだろうけど、なんと実在の人物なんだと。2023/04/11
たかっさ
2
小津夜景さんの著作で、原采蘋さんを知りました。 小津夜景さんの著作で本作について言及しているわけではなく、どんな人かと検索して辿り着いたのが本作。というか史料が少ないのでしょう、検索で辿り着くコンテンツはあまりに少ない。となると、その空白を埋める創作の余地/エンタメ化の余地は大きくなるわけで、そのあたりは”解説”の通りかな。 2024/04/05




