内容説明
好きで堪らない彼女に別れを告げてしまった男性書店員の「未練」。ギャンブルですべてを失い“看板”として道端に立つ男のささやかな見栄「街のサンドイッチマン」。妻が産んだのは他人の子。それでも父親になりたかった夫の告白「ああ、なんてみじめな」。留学の二日前に愛娘を殺害された両親が語る在りし日の姿「娘は二十一のまま」。消えぬ後悔を胸に、それでも人は今を生きている。市井の人々の声に耳を傾け、リアルな姿を描き続ける著者の傑作ノンフィクション・コラム19編。(『こころ傷んでたえがたき日に』を改題して文庫化)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
85
たまたますれ違った人に、あなたの人生どうでしたか?ってインタビューしたかのような話が19話。実際、ノンフィクションらしい。どんな後悔も相手がありき、なのかな。人は1人で生きてきてないもんね。あの時のあれは正解だったのか…ifの世界にいる相手が同じ後悔を抱えていることが分かったら、すべては報われるのにって思えるような。文庫改題前は【こころ傷んでたえがたき日に】だって。上原さんの本ってタイトルがいいよね。2023/12/18
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
17
切なさのてんこ盛り。解説で清田隆之氏が「これなら俺にも書けるかも」と物書きになりたいという夢の支えとしたが、いかに浅はかな勘違いであったかと痛感したと白状。誰の中にもあるであろう景色、文字にしただけでどれだけ切なさが伝わるか。著者の筆でないと切ない物語にはならないのだ。読了後タイトルを見て、誰もが一抹の後悔を持って見返す人生、あの時こうしていればなあというのは責めではなくて、可能性に活躍させきれなかたっという勿体無さと感じた。2023/02/27
tom
15
久しぶりの上原隆。微妙な既視感、書名を変えての出版だった。初期のころのしみじみ感が薄くなったという読後感。それはともかく、村上春樹が二回登場する。一つは、村上がジャズ喫茶を経営していたとき、向かいで書店を経営していた人からの聞き語り。店を閉めたころは経営が・・など、妙にゴシップめいた記事。もう一つはカーヴァーの「足元に流れる深い川」に対する村上のコメントについて。文芸評論家松原新一(知らない人)の批判が正当という意見。微妙な悪意を読み取ったのだけど、どうだろう。著者は村上が嫌いなのかもと邪推する。2024/09/24
団塊シニア
12
市井の人々の身の上話に耳を傾けたノンフィクションコラム、作者の丹念な取材と筆力が読み手を惹きつける魅力がある、「未練」「娘は二十一のまま」の二作品が秀逸。2023/02/23
かめぴ
10
土曜、夕陽に背中を照らされながら読みたい。というかそれ以外のシチュエーションで読みたくない。物悲しい。『こころ傷んでたえがたき日に』を改題かぁ…。いいコラムでした。2023/05/28
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