創元推理文庫<br> ラヴクラフト・カントリー

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創元推理文庫
ラヴクラフト・カントリー

  • 著者名:マット・ラフ【著】/茂木健【訳】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 東京創元社(2023/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488571047

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内容説明

朝鮮戦争から帰還した黒人兵士アティカス・ターナーは、SFやホラーを愛読する変わり者だ。折り合いの悪い父親から、母の祖先について新発見があったという連絡を受けて実家に戻ったところ、父は謎の白人と共に出て行ったと知らされる。アティカスは出版社を営む伯父と霊媒師と賭博師の間に生まれた幼馴染を伴い、父の行方を追って外界から隔絶された町アーダムを目指す。そこで待ち受けていたのは、魔術師タイタス・ブレイスホワイトが創設した秘密結社だった。アメリカ合衆国誕生から朝鮮戦争直後に至るまでの二百年に亘るアメリカの闇の歴史と魔術的闘争を描いた、TVドラマ『ラヴクラフト・カントリー 恐怖の旅路』原作。/【目次】ラヴクラフト・カントリー/魔が棲む家の夢/アブドラの本/宇宙を攪乱するヒッポリタ/ハイド・パークのジキル氏/ナロウの家/ホレスと悪魔人形/カインの刻印/エピローグ/解説=古山裕樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

67
黒人差別が公然となされていた1950年代アメリカ。ある黒人家族を巡る連作短編集。題名に惹かれて読み始めたのだが、読んでいる最中しきりにそこには違和感を感じる。著者の本当に描きたいのが、ホラーではなく黒人差別だという事がしきりに強調されてる感があるからかな。ラヴクラフト自体はあまり出ず、恐怖の主体は排斥される黒人という社会的な恐怖が中心になっていると思う。個人的な感覚としては当時のみならず現在のアメリカにとっても深刻な問題なんだろうけど、他国人だと何処かワンクッション置いた感覚があるように思えるのだが。2023/04/23

藤月はな(灯れ松明の火)

61
ドラマ版は未見。1950年代。黒人は南部に出かけるには「黒人もOK」というダイナーやガソリンスタンドを記した地図は必需品。交通規則を遵守しても警察官に呼び止められ、銃を突き付けられるのは当たり前。北部もマシとは言え、郊外などでも黒人差別はある。そんな時代故に怪物や社会の権力に潜む魔術結社軍団よりも白人の方が断然、おっかないぜ!黒人差別を描いた様々な映画や小説などを思い出しながら読了。そしてアティカス達が怪異や魔術的搾取するケイレヴ達よりも「白人5人が死んだ」という事実を問題視する事実に根深さを感じる。2023/06/26

眠る山猫屋

56
ネフリでドラマ化してた当初から気になっていた一冊。まだ人種差別が甚だしかった20世紀中頃、アメリカ中南部に住む黒人一家を巡る、蒸せ返るような息詰まるような生き難い時代の物語。SFやクトゥルー神話を“読んでいた”ような青年・アティカス。様々な差別や嫌がらせを受けながらの帰郷。そして彼を狙う古えからの魔術。そう、この物語はクトゥルー神話ではなく、現代に隠れ潜む魔術師たちの支配権争いと、人種差別に抗う人々の物語。しかしながら、ジョーダン・ピールが絡んでいるだけあって、社会批判だけではなく、際どいユーモア(続)2023/04/11

Shun

33
タイトルにラヴクラフトを冠し本編中では彼の創造したクトゥルー神話というフィクションに縁のあるアイテムやキーワードが登場するが、単なるオマージュ作品ではなさそうだ。ラヴクラフトが遺した作品を読めばその独自の世界観に惹かれる一方で、そういう時代だったと言えばそれまでだが人種差別的な傾向があることに気付く。そして本作はアメリカの歴史と切って離せない黒人蔑視社会との闘争の歩みをファンタジックに描き、ラヴクラフトへのオマージュであると同時に皮肉を効かせた物語となっている。2023/04/16

Ribes triste

17
人種差別が色濃く残る1950年代のアメリカを舞台に展開するホラー味少なめ、ユーモア多めのダークファンタジー。個性的でパワフルな主人公の黒人達と、怪しげな秘密結社や警察や問答無用で攻撃してくる白人達との対決構造の中、痛快で奇想天外な物語が進行する。人の心の闇ほど怖いものはない。面白かった。続編が読みたいです。2023/04/03

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