内容説明
数え切れないほどの監視カメラが眼を光らせる街角で、高校生の「私」と親友の「彼女」は、携帯端末の小さなレンズをかざして世界を切り取る。かつて「私」の母や、祖母や、曾祖母たちがしてきたのと同じように。そうして切り取られた世界の一部は、あるときには教育や娯楽のために、またあるときには兵器として戦争や弾圧のために用いられた――映画と映像にまつわる壮大な偽史と、時代に翻弄されながらもレンズをのぞき続けた、血縁に依らぬ“一族”の系譜を辿る物語。芥川賞作家の初長編にして、受賞第一作として発表された傑作が待望の文庫化。/解説=倉本さおり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
複雑な構成で難しかったです。映像をガジェットに、現代ちと過去が結びついている物語。ちょっと自分には合わなかったみたいです。2023/07/13
ぜんこう
19
Side A が現在の高校生の私と彼女、Side B が活動写真が日本に持ち込まれてからの母娘4代の話。かなり不穏な空気感漂う話です。過去の話がだんだん現在に近づいてくる。映像は記録した瞬間に偽物になっちゃうのか? 高山さんの小説はいつもはっきりした結論はない。2023/04/18
Satoshi
15
芥川賞作家による長編小説。現代パートと過去パートが並行に語られる。過去パートは世界の映像史を辿る血族の物語。女性が主軸になっていくのが興味深い。ラストで2つの物語は交差する。後半でSFチックになるところは違和感があったので、ベトナム戦争以降を再読した。真実と映像の間では真実が曖昧になる。スマホの普及で誰もがカメラを持ち、簡単に画像を加工できる。著者はそのアンビバレントさを表現したかったのだろうか。2025/04/07
ひでお
10
現代と思われるお話しと、明治から現代へと続くお話しを交互に配置して、終盤にふたつがつながるという手のこんだ構成のお話し。キーとなるのは映像です。映像として切り取られたものが、様々な意味を付加されて、撮影者の意図から離れて、いろいろな影響を与えて行くのかな。この作品、SFテイストがありますが、それを越えて読み手に考えさせる作品だなと思いました。2023/06/12
上田
4
カメラや映像技術がどんな歴史を辿ってきたのか。私、母、祖母、曾祖母となかなか波乱万丈な人生を送ってきた女性たちの物語としておもしろかったけど、文学的で何が言いたいのか理解できない部分もあり。映像を見せることで脳に異常をきたす兵器とか本当にあったんだろうか。現代では街中に監視カメラがあり、誰もが手にはスマホのカメラを持っていて、それは一種の武器となりうる。使い方を間違ってはいけない危ういモノだと感じる。2024/03/15
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