ちくま新書<br> シン・中国人 ──激変する社会と悩める若者たち

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ちくま新書
シン・中国人 ──激変する社会と悩める若者たち

  • 著者名:斎藤淳子【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075383

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内容説明

待ったなしの少子化、激変する結婚・住宅事情、未来を担う若者の奮闘と苦悩などニュースの裏側の中国の「ガチの素顔」をレポートする。画一化された競争人生を強いられメンタルが繊細化し焦慮する若者(「内巻」)、手塩にかけて育てた一人っ子に「優良」な結婚と孫の誕生を切に望む親世代。男女人口の崩れも影響し婿家族が嫁家族に渡す結納金が高騰、加えて、住宅私有化とともに不動産も高騰、そこに出現した「結婚道徳」……。圧縮された国際化と市場化の激流の中で、市井の人々、特に若者は何を思い、人生を歩むのか。

目次

はじめに/第1章 世界一のジェネレーションギャップ──生活、金銭感覚、結婚観/「中国スピード」が社会を激変させる/祖父母世代の勤勉すぎる節約習慣と金銭感覚/iPhone、航空券をめぐる親子間ギャップとウソ/文革世代の親子の人生観、結婚観/金正日の死去を見る目/80年代に開花した自由──ヒーローは高倉健/一人っ子世代の結婚の懸案事項──戸籍、住宅/北京戸籍の重み──大学受験のために田舎に帰るか、外国に行くか?/子どもの受験のために深 の都市戸籍を!/自家用車のナンバープレート180万円!/結婚と住宅という一大プロジェクト/ギャップを笑いに──相乗りサービスと「母ちゃんの勘違い」/第2章 データで見る中国の恋愛、結婚、離婚と出産/減り続ける結婚/増えるシングル世帯とお一人様経済/民法典で離婚にクーリングオフを導入/急速に進む少子化──既に日本以上/禁止から奨励へ揺れ動く出産政策/少子化対策としての塾禁止令/禁止歓迎の声とそれでも変わらないもの/急がれる産休制度の拡充と進むイクメン/第3章 北京で聞きました──20代、30代の恋愛観と結婚観/Aさん 30代:独身音楽関係者「日米のアニメを見て育った僕らと親の溝は深い」/Bさん 30代:独身企業家「婿を評価する一覧表に驚愕」/Cさん 20代:バリスタ独身男性「恋愛という精神的な がりが僕には必要」/Dさん Z世代:大学4年生の独身男性「家を持ってこその新婚生活」/Eさん 30代:6人で子育て中の休職中キャリアウーマン「親とは離れられない」/Fさん 32歳:日系企業勤務のキャリアウーマン「幸せというのはお金があるということ」/Gさん 20代:英国大学院生独身「親密な関係になるのが怖くて、相手を遠くに押しのけてしまう」/Hさん 90後(Z世代):映像クリエーターの卵「恋は暇じゃないとできない、時間コストが……」/Iさん 33歳:離婚後独身男性「たくさん恋をして自分を理解し、本当に好きな人に巡り合いたい」/Jさん Z世代:同棲中の独身男子「何かを好きになるという感情は重視されなかった」/第4章 「図書館30秒」に見るZ世代の恋のカタチ/人気の書き込み「図書館(の停電)30秒」──精神的不倫/両親参加型の恋愛/中国の「プライバシー」感覚──恥ずかしいから隠したいこと?/「パスワードちょうだい!」若い男女のプライバシー感覚/虚構に踊らされる若者の恋愛スタイル/第5章 ファミリービジネス化する結婚──結納金は年収の10倍以上/ある農村の母の嘆き/高騰する結納金と補償金としての意味/中国の貧困農村の昨今/何が結納金を高騰させたのか?──男女人口のアンバランス/男子の出産偏重が生む女子不足時代へ/競争社会の波は農村にも/若者の結婚を歪める面子競争心理/第6章 中国の住宅事情──住宅私有化の波が みこむ少子社会/億ションも当たり前、世界一高い中国の不動産/資本主義の大波と「伝統」の不思議な結合/住宅改革──住宅と結婚が がったわけ/拡大する北京と不動産ブーム/「娘は『招商銀行』、息子は『建設銀行』」/現代中国社会と家の結婚/第7章 恋愛は「闇」でする悪いこと?──中国の恋愛観/結婚と家の束縛/社会主義体制では「恋愛は資本家階級的情緒」/中学高校での恋愛禁止令/夫婦証明書なしではホテルの宿泊も不可能という保守性/第8章 細くなった一人っ子世代、「気まずさ」に悩む若者/繊細な心情を表現する新語/「気まずさ」不在の90年代と「気まずさ」に悩む現代の若者/「気まずさ」を笑う若者たち/眠れない若者たちと「不眠経済」/潔癖症になる若者たち──下着は別洗い、トイレは和式で!/中国の昨今のトイレ事情/潔癖症はモノだけでなく、ココロも?「精神潔癖症」/第9章 美顔を整形で手に入れろ──不安と競争圧力の下で/「焦慮」が需要を生む/突然降ってきた「美容」/ソーシャルメディアが生んだ「憧れの顔」/ニューメディアが加速する画一化された「美」/美容は成功への道具?/強すぎる競争圧力/脆弱なセーフティーネットが不安を増幅する/第10章 画一化された競争人生にノーと言い始めた若者たち/圧縮された経済成長は何をもたらしたか/雰囲気の変化も猛急/社会を覆う「焦慮」/終わらない競争に、隠せない疲労感/成功圧力と画一的成功モデルの弊害/「(まっすぐ)寝そべる」と言い出した若者たちと踊り場にきた中国/おわりに 合理的社会の未来、中国/参考文献/注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

111
最新情報がいろいろ出てて面白かったです~。中国は世代の違いが凄い。文革、解放、一人っ子政策、豊かな現代、と目まぐるしい。2023年刊2025/07/18

ねこ

96
今の中国人の現状がわかる本。といっても2年半前の出版なので激動の中国では変わっていることも…。例えば不動産バブル崩壊とか。中国の親子ではジェネレーションギャップが凄まじい事がわかった。日本人で例えると明治生まれと平成生まれぐらいの差だと。大変そうだな。中国人男性が結婚時に家を買うのが当たり前とか地方では結納金は年収の10倍とか知らない事ばかりだった。生活に安定を求める日本人と一攫千金を貴ぶ中国人。そして圧縮型で超高速発展した中国と30年停滞した日本。分かり合えるのは難しいだろうなと実感しました。2025/07/17

どんぐり

78
「グローバル化する世界で欧米のトップ校へ留学し、海外文化を貪欲に取り入れ、全方位へ好奇心と行動のアンテナを広げている」シン・中国人(若者)の実態をリポートした本。北京や上海のマンション価格は中古でも1億円を超える。それは所有権ではなく期限付きの使用権。結婚するカップルは、一人っ子政策で祖父母合わせて「6個の財布」で家を準備しなければならない。シン・中国人の結婚は、収入、戸籍、住宅、職業、学歴、老後保障、メンツなどをパックにしたファミリープロジェクトだ。→2024/08/08

HANA

75
中国を論じた本は数多いが、ほとんどは国際情勢や政治を論じたもの。それと比して本書はその中で生きる人々の価値観を描いたものとなっている。中心は結婚や恋愛であるが、それらが現在の日本みたいに個人的なものではなく、かといって前近代的なものでもなくなっているのに中国人の戸惑いを感じるなあ。世代間のジェネレーションギャップも大きいのだろうけど、よく考えたら文革等に関係した世代からそれほど経っていないのね。結婚相手は北京市民だとか、結納金のただならぬ高騰だとか、あまり知られていない中国人の価値観、面白く読めました。2023/02/19

ベローチェのひととき

25
ネットを検索していて気になって入手した本。北京に26年在住している著者が現在の中国についてまとめた本。いやぁ〜知らないことばかりで大変為になりました。中国はここ30年程で超急成長した影響で、若者世代、親世代、祖父母世代のジェネレーションギャップが恐ろしく激しいそうです。それに加えて都市部と農村部との格差もあり、大変そうです。若者がかわいそうすぎる。2024/11/10

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